2019年7月22日(月)

被災地「復興、誰に」 震災後初の衆院選

2012/12/4付
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東日本大震災後初となる大規模な国政選挙が幕を開けた4日、各党トップらは被災地を訪れ、第一声を上げた。原発事故で今も多くの住民が避難生活を余儀なくされ、津波で壊滅的な被害を受けた沿岸部は再建の途上にある。復興のかじ取りを誰に託すのか。被災地の有権者からは期待や注文が相次いだ。

「原発政策で投票」

「子供が安心して暮らせるよう、福島第1原発事故の収束プロセスをしっかり示してくれる政党に票を投じたい」。午前8時半すぎ、福島市中心部の広場で、自民党の安倍晋三総裁の街頭演説に耳を傾けた同市の会社員、斎藤一茂さん(35)は力を込めた。

福島市内では住宅街を中心に除染が進むが、小学2年の子供を持ち、放射線への不安は尽きない。「投票のポイントは原発政策」ときっぱり言い切った。

同市の主婦(58)は「福島の今後を決める大事な選挙になる」と期待する。原発事故後、政治の対応の遅さにいら立ちを感じた。「どの政党が政策を素早く実行できるのか、しっかりと見極めたい」と強調した。

福島県内では4日、民主党代表の野田佳彦首相や日本未来の党の嘉田由紀子代表が遊説を実施。社民党の福島瑞穂党首も街頭演説するなど各党トップが次々と入り、16日の投開票日に向けた選挙戦の火蓋を切った。

「住民の声、国政に」

津波で壊滅的な被害を受けた宮城県名取市の閖上地区。自治会長の高橋善夫さん(69)は「復興関連予算が関係のないところに流用される一方で、被災地では復興に必要な資金が不足している」と主張。「住民の話を丁寧に聞き、被災地の声を政策に反映できる議員を国会に送りたい」と願う。

閖上地区は再建の方向性が決まっているが、具体的な計画づくりはこれから。住宅や店舗の建設費用は個人負担で、どれだけの住民が戻れるかも不透明だ。高橋さんは「この2年近く、失望することばかりだったが、それでも政治には期待したい」と話す。

がれきの片付けに約1200人を動員し、今も約20人で農家支援などを続ける東北大のボランティア組織「HARU」代表の井上尚人さん(21)。「津波で家も農機具も流され、廃業が相次ぐ中で『何とかしよう』と立ち上がった20~30代の農家もいる。チャレンジする若者を支え、20年後、30年後を見据えた被災地の将来像を争点の一つにしてほしい」と求める。

「仮設出た後は…」

岩手、宮城両県で仮設住宅の支援などに当たる特定非営利活動法人(NPO法人)「ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパン」職員、稲垣花恵さん(34)は党首討論などで復興に関する議論が少なかったことが気がかりだ。「がれきは撤去されても、仮設住宅を出た後の姿を描けない住民は不安だらけ。人ごとと放置しないで」

震災の「語り部」の活動を続ける奥松島観光ボランティアの会(宮城県東松島市)代表の郷右近克己さん(58)は「過去の津波を伝える碑などがありながら、教訓が生かされなかったところもある。未曽有の災害も必ず風化する」と指摘。「地震国の日本では、誰もが人ごとではない。衆院選の機会に、震災の備えや復興のことを全国で話し合ってほしい」と訴えている。

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