記録的豪雨、なぜ起きた? 降水量3日で年間の6割も
湿った空気、断続的に流入
紀伊半島を中心とした記録的豪雨について、気象庁は台風12号本体の雨雲に加え、台風に向かって南から断続的に流れ込む湿った空気が原因とみている。台風の速度が遅い上、ほぼ真っすぐ北上を続けたため、南からの湿った空気が同じような場所に流入し続けたという。
さらに、紀伊半島では湿った空気が山の南東側斜面にぶつかって雨雲が発達しており、地形も大きく作用した。
紀伊半島周辺では、奈良県上北山村で72時間雨量が1652.5ミリなど、奈良、三重、和歌山3県の計7地点で同雨量が千ミリ超を記録。上北山村の年間雨量の平年値は2713.5ミリで、わずか3日で年間総雨量の6割以上が降った計算だ。
気象庁予報課によると、台風12号は「台風の目」が直径200キロもあるドーナツ形をしており、中心よりも外側の「アウターバンド」と呼ばれる部分で積乱雲が発達しているのが特徴。
四国上陸後、日本海に抜け、進路は紀伊半島の西側だったが、台風は反時計回りに渦をつくっているため、進行方向の東側で風雨が強まる性質がある。
さらに「小走りから自転車程度の速度」と遅いため、湿った空気の流れも大きく変化していない。台風は勢力を弱めつつあるが、同じ地域で長時間、雨が降り続く傾向が維持されたという。〔共同〕