「新聞に軽減税率適用を」学者らが意見書 新聞協会に
日本新聞協会会長の諮問を受けて5月に発足した法学者ら有識者による「新聞の公共性に関する研究会」(座長・戸松秀典学習院大名誉教授)は5日、消費税率引き上げに際して新聞に軽減税率が適用されるべきだとする意見書を発表、同会長に答申した。「新聞は日本の誇るべき文化の維持と民主主義の健全な機能にとって不可欠」と指摘、欧州などと同様の軽減措置の必要性を強調した。
意見書は、新聞が社会で果たしている役割は広く浸透しており、「衣食住に次ぐ必需品といえる」としたうえで、販売網を通じて全国一律にニュース情報を伝えることで日本の文化を支えているとの認識を示した。
また、憲法21条にある表現の自由の保障の側面からも新聞の重要性を指摘した。現行の法制度で、新聞には再販制度や第3種郵便制度などの優遇措置が適用されている。この法体系と新聞に軽減税率を導入することは整合性を持つと述べた。
日本人の識字率が高く文字文化が広く普及している背景には、戸別配達や定期購読率の高さがあり、全国紙と地方紙の併存によって情報の多様性が確保されていることなどにも言及した。
研究会は新聞に対する消費税課税のあり方について法的な側面から検討してきた。委員は戸松座長のほか、紙谷雅子学習院大教授、村上政博一橋大名誉教授、山川洋一郎弁護士。