人そっくりで表情も豊か、阪大など遠隔操作ロボット開発
大阪大学の石黒浩教授と国際電気通信基礎技術研究所などは3日、遠隔操作で実在の女性そっくりに動くヒト型ロボットを開発したと発表した。自然な笑顔やしかめ面など人間らしい表情が作れ音声で対話もできる。5月以降、東京大学や阪大の病院で患者が医師と面談するときに"同席"させて、患者の緊張を和らげることなどに役立てる。博物館などでの利用も見込んでいる。
開発したロボットは「ジェミノイドF」。サンリオ子会社のロボットメーカー、ココロ(東京都羽村市)が製造し、約1000万円で5月にも発売する。海外展開も計画している。
国を問わず子どもから高齢者まで幅広い層の人々に受け入れてもらえるように、20代女性をモデルに容姿を再現。腰掛けた状態で高さが140センチメートル、重さが30キログラム。手足は動かないが目、口、まゆ、首などが動く。まばたきなどの微妙なしぐさは自動化した。
離れた場所で操る人の顔の向きや口の動きをカメラでとらえてジェミノイドFに反映できるほか、パソコンのマウスを操るだけで、笑う、怒る、驚く、悲しむなどの表情を作れる。操る人の音声をマイクで拾ってジェミノイドFから出力。操る人と対話しているように感じられる。モデルとなった女性は「操ってみると自分自身のように思えた」という。
石黒教授はこれまでに自身の容姿を精巧にまねたロボットを製作した実績を持つ。今回のジェミノイドFは動く部分を減らしたほか、家庭用電源で動くコンプレッサーを採用しシステムの小型化を実現し、製造費用を大幅に抑えた。
石黒教授は「ロボットを離れた場所に置くことで、携帯電話に続く新しい道具になる」と話す。患者の心のケアや高齢者の社会参加促進をはじめ、「人間らしさ」の研究に有効とみている。
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