2019年5月25日(土)

がれき処分場、建設に住民不安 3年内の完了不透明

2011/9/11 3:30
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津波で多くの家屋や工場などが流されて発生した大量のがれきの処理は自治体を悩ませている。今回の震災で発生したがれきの量は既存の焼却施設では処分しきれず、新たな専用の処理場が必要になるが、一部地域では住民の反対もあり、最終処分への課題も残る。

仮置き場に積み上げられたがれき(1日、宮城県石巻市)=写真 小林健

仮置き場に積み上げられたがれき(1日、宮城県石巻市)=写真 小林健

環境省のまとめによると、岩手、宮城、福島3県のがれきの総量は推計2304万9000トンで、阪神大震災の1477万2000トンの約1.6倍にのぼる。県別では宮城が1569万1000トン、岩手が507万8000トン、福島は228万トンと見積もられている。

宮城と岩手の処理方法は、市街地に散乱したがれきや壊れた家屋を解体し、2012年3月末までに1次仮置き場に集約、不燃物と可燃物など大まかに分類する。その後、2次仮置き場に移して木くずや金属など再生可能なものを分別し、残りは焼却や埋め立てる。14年3月末までの処分完了を目指すという。

9月になっても1次仮置き場に運び込む段階。環境省によると、搬入済みの割合は岩手が73%、宮城が50%だ。岩手は6カ所、宮城は7カ所に分別したがれきの2次仮置き場を設ける。

自治体のがれき撤去状況
市町名推計がれき量(千トン)撤去済み割合(%)
宮城県 石巻市616326
東松島市165747
気仙沼市136768
仙台市135262
亘理町126790
岩手県 陸前高田市95698
福島県 いわき市88042
岩手県 宮古市86069
釜石市76236
大船渡市75660

注)9月6日公表の環境省の資料をもとに作成

宮城の計画では、2次仮置き場には木くず、廃プラスチック、ガラス片や金属片、壊れた家電製品など様々な廃棄物が搬入され、分別して山積みされる。粉砕施設や焼却施設も敷地内に造る予定で、騒音や排ガスは懸念材料だ。

気仙沼市の建設候補地に近い住民からは反対の声が上がる。住民グループ代表の森谷将篤さん(40)は「他の候補地と違って周辺に小学校や住宅があり、健康が守られない」と訴える。2次仮置き場は津波で浸水した水田を借り上げ、建設する。水田保有者からは、廃棄物に雨水がかかり汚染水がしみ出す可能性を指摘する声も。地権者の無職女性(72)は「再び水田として使えるのか不安」と漏らす。住民グループによると、地権者約200人のうち約50人は土地を提供しない意向だという。

岩手は2次仮置き場から民間のセメント工場や既存の焼却場などに搬出して焼却や埋め立て処分する。14年3月末までに終えるには1日2392トンの処理量が必要だ。ところが、処理能力は1日計1597トンで795トンの能力不足。県は県外の自治体に処理を打診中だが、受け入れ先は決まっていない。

放射性物質の付着も懸念される福島は撤去作業が難航。原発から半径20キロ圏内の警戒区域内では高放射線量の恐れがあり、作業は手つかずで、仮置き場に搬入したのは43%にとどまる。

環境省は8月31日に、放射性物質を含むがれきの焼却灰の処理の指針をまとめた。1キログラムあたり8000ベクレル以下では埋め立て処理が可能、8000ベクレルを超え10万ベクレル以下ならば、セメントで固め、容器に入れるなどして埋め立てる。10万ベクレルを超える場合は、ドラム缶などでの一時保管を求めている。

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