2019年1月17日(木)

「奇跡の一本松」保存進む 各地でレプリカ作りや防腐処理

2013/1/3付
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岩手県陸前高田市の景勝地、高田松原の約7万本の中で唯一、東日本大震災の津波に耐え、復興のシンボルとなった「奇跡の一本松」。立ち枯れてしまったため、市はレプリカや防腐処理を組み合わせての復元を決定。全国各地に運ばれ保存作業が進められている。

「奇跡の一本松」のレプリカ製作作業(2012年12月25日、相模原市)

「多くの人が期待して待っている。一世一代の大仕事だ」。そう話すのは、相模原市の造形会社「パウ」の満田茂春社長(64)。博物館に展示する動植物のレプリカなどで定評がある同社は今回、千葉県袖ケ浦市の炭素繊維加工会社と共に、一本松の枝や葉のレプリカ作りを担当している。

陸前高田市から運ばれた枝で型取りしたシリコーンに、衝撃や熱に強いエポキシ樹脂を塗り固める。数時間後に型を外すと、ミリ単位で正確に、枝の表皮が再現される。

枝の内側部分にはステンレスと炭素繊維を使用。強風や雪など、さまざまな気象を想定して材質や厚みを計算し、鉄の6倍の強度にした。こうして作った数百のパーツをつないで着色すれば、最も長い部分で約15メートルの枝のレプリカが完成する。

一方、幹は分割されて愛知県弥富市に運ばれ、芯をくりぬかれた。その後、標本製作などを手掛ける京都市の会社が同市と大津市の作業場で防腐処理を施している。

アルコールに漬けて幹が含む水分を抜き、腐食やかびに強い成分を配合した樹脂に置き換えるが、企業秘密を含むため、作業は非公開だという。

くりぬかれた芯の部分に通して、分割された幹をつなぐカーボン製の心棒は、長野県宮田村の工場で製作中だ。

一本松は多くの人が訪れる場所となっていたが、海水で根が腐り、倒木の危険性があることが判明。市は昨年9月に根元から切断した。レプリカの枝や防腐処理された幹などを組み合わせ、元の場所に一本松がよみがえるのは2月下旬ごろ。

陸前高田市の戸羽太市長は「被災の悲しみを伝える遺構はたくさんあるが、この一本松は希望を与える。鎮魂の象徴として、多くの犠牲の上に今の街があると後世に伝えてほしい」と話した。〔共同〕

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