震災の教訓を次代に 小学校教科書、算数や家庭科でも関連記載

2014/4/4付
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震災の教訓を児童に伝えたい――。2015年から使われる小学校の教科書で、全体の4分の1にあたる35点に東日本大震災に関わる内容が盛り込まれた。原発事故の影響や防災の取り組みなど扱い方も多彩に。教科書各社の編集作業は被災地の復旧・復興と同時並行で進み、検定申請期限の間際まで被災地の様子を取材した社もあった。

社会では、各教科書会社とも多くのページを震災にあてた。日本文教出版は津波で被災した宮城県石巻市の水産加工場や流された漁具を探す漁師らの写真を大きく掲載。光村図書出版は児童・生徒が率先して避難し「釜石の奇跡」と呼ばれた岩手県釜石市の防災教育を4ページにわたり紹介した。

教育出版では、現行本で養殖業を学ぶ題材として取り上げていた岩手県宮古市のワカメ漁師らが津波で被災したことが判明したのを受け、社員が現地を数回訪れて漁業を再開する様子を取材、2ページの特集を組んだ。

担当者は「最新の復興状況を盛り込むため、昨春の申請期限ギリギリまで連絡を取り合った」と振り返る。

東京電力福島第1原発事故について1ページの特集を載せたのは東京書籍。除染作業や福島県産品の風評被害などを4枚の写真で伝えた。担当者は「原発事故の様々な影響を理解してほしいと考えた。ただ現在も収束していない課題が多く、毎年の修正や追加が必要になりそうだ」と話した。

放射性物質は社会の4点で「体に多く取り込まれると悪い影響を与えることがある」などと説明。ある社は理科で放射線の性質を解説するコラムを載せたが「中学3年で学ぶ内容。指導要領の範囲をはるかに超える」との検定意見が付き、削除された。

防災を学ぶ内容も各教科で充実し、災害時に必要な食料の備蓄量を計算する算数の問題や、地震発生時の注意事項をまとめた家庭科のコラムが初めて登場。被災者に懸念される心的外傷後ストレス障害(PTSD)を保健で扱い、精神的なケアの重要性を解説する社もあった。

光村図書出版は「復興や国際理解に向けたメッセージを児童に受け取ってほしい」(担当者)との狙いから、震災を機に日本国籍を取得した日本文学研究者のドナルド・キーンさんのインタビューを国語に掲載した。

教科書は検定合格後もやむを得ない事情があれば訂正や追加を申請できる。現行教科書で震災の記述がある10点はいずれも震災後に追加された。

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