ネット依存の中高生、国内に51万人 厚労省推計
携帯電話やパソコンに没頭する「インターネット依存」の中高校生は全国で推計51万8千人に上ることが1日、厚生労働省研究班(代表・大井田隆日大教授)の調査で分かった。依存が強いほど睡眠時間が短くなることも判明。研究班は「ネット依存が健康に悪影響を与えている」と警鐘を鳴らしている。

ネット依存とされるのは、ネットの使いすぎで健康や暮らしに影響が出る状態。悪化すると食事を取らなくなり、栄養失調になることもある。ただ、現在は病気とは定まっていない。
調査は昨年10月~今年3月、全国の中学校140校と高校124校の約14万人を対象に実施。約10万人から有効回答を得た。研究班によると、中高生のネット依存に関する全国規模の調査は初めて。
調査では「ネットに夢中になっていると感じるか」「使用をやめようとした時、落ち込みやイライラを感じるか」など8項目を質問。5項目以上に該当し、ネット依存が強く疑われる「病的な使用」と認定されたのは8.1%に上った。研究班はこの結果から、ネット依存の中高生が51万8千人と推計した。
「病的な使用」とされた割合を男女で比較すると、男性6.4%、女性9.9%で女性が多かった。研究班は「チャットやメールなどに没頭する人が多い」と説明している。
「病的な使用」とされた中高生のうち「睡眠時間が6時間未満」と答えたのは43.0%。調査時点の直近1カ月の午前中の体調が「常に悪かった」「しばしば悪かった」と回答したのも24.0%に上り、いずれもネットに依存していない人と比べて割合が1.6~2.7倍高かった。
直近1カ月で使ったサービス(複数回答)を尋ねたところ「情報やニュースなどの検索」が69.2%で最も多かった。以下は「動画サイト」(64.4%)、「メール」(62.5%)の順だった。
研究班は「ネットを使うことは若者の文化になっている。健康的な使い方ができるよう指導や教育をしていく必要がある」としている。