両親未婚の子の相続、嫡出子の2分の1は違憲 名古屋高裁
結婚していない男女間の子(非嫡出子)の相続分を法律上の夫婦の子(嫡出子)の2分の1とする民法の規定の合憲性が争われた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は1日までに、出生時に嫡出子がいない男女間に生まれた非嫡出子に規定を適用するのは「法の下の平等を定めた憲法に反する」との違憲判断を示した。そのうえで、その後生まれた嫡出子と同等の相続を認める判決を言い渡した。
非嫡出子の相続に関する民法の規定を巡っては最高裁が1995年に合憲判断を示した。しかし大阪高裁が11年、最高裁判決以降、家族関係のあり方が変化したことなどを理由に違憲とする決定を出した。名古屋高裁の判決理由で長門栄吉裁判長は「法令として違憲とはいえない」としながら、事例によっては適用できないとした。
判決によると、原告の名古屋市の男性(70)は、両親が未婚の状態で出生。その後、父親が別の女性と結婚し、嫡出子にあたる子供が生まれた。
長門裁判長は規定の趣旨を「法律婚の尊重」と指摘する一方、「法制定時から家族関係に対する意識や実情が大きく変化し、嫡出かどうかで差別されない制度が求められている」と述べた。その上で、両親が一度も結婚していない場合に生まれた場合は「その時点で尊重すべき法律婚も嫡出子も存在せず、規定の適用は困難」と結論づけた。
判決は昨年12月21日に言い渡され、確定。男性の代理人弁護士は「主張は認められたが、法律の規定そのものが違憲と踏み込んだ判断を示してほしかった」としている。