人間の色覚、天敵察知のため発達か ヘビの写真見せ実験
京都大学霊長類研究所の正高信男教授は、人間がヘビを素早く認識するのは色覚が関係しているとの仮説をまとめ、2日付の英科学誌「ネイチャー・サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。色覚はサルや人間など高等な霊長類にしかなく、天敵を察知するために発達したのではないかとみている。人類の進化の過程を探るのに役立つ成果という。
人間の4~6歳の子供111人に、画面に表示した8枚の花と1枚のヘビの写真を見せ、ヘビの絵を選ぶまでの時間を計った。写真がカラーだと白黒に比べて選ぶ時間が短くなった。
人間が本能的にヘビを恐れる理由は大きなナゾとされている。正高教授は「色覚が重要な役割を果たしているのではないか」と説明する。これまで霊長類の色覚が発達したのは、熟した果実を見つけるためと考えられていた。霊長類はイヌやネズミに比べて嗅覚が衰えており、それを補うために色覚が発達したとみられる。