財政収支の黒字化、20年までに「達成可能」 スティグリッツ氏
コロンビア大教授のジョセフ・スティグリッツ氏が31日、都内で日本経済新聞社などの取材に応じ、財政の基礎的財政収支を2020年度までに黒字化する政府の目標について「達成可能」と述べた。日本の国内総生産(GDP)に対する税収の比率は他の先進国に比べ低く「引き上げ余地がある」と指摘。増える税収の一部を最も投資効果が大きい教育や科学技術に回せば「短期にも長期にも経済成長をもたらし税収の増加につながる」とした。
長期金利の上昇が日本経済にもたらす影響については「そんなに心配していない」と話した。市場はよく乱高下し、特に経済政策が変わる過程で短期的な変動に陥りやすいと指摘。金融当局は「国債の購入量を増やすなど長期金利を引き下げる道具を持っている」と今後の日銀の対応に期待を示した。
安倍政権の経済運営は成功しているとの認識を示したうえで、潜在的な日本経済の成長力は「そんなに悪くないと国民に明確に伝えたこと」を理由に挙げた。長引く景気低迷で「日本には過度に暗い雰囲気があった」と指摘。一方で、失業率は低く「悪いことばかりではなかった」と話した。
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