2019年6月18日(火)

日中閣僚会談 「政経分離」の思惑 中国、投資減で危機感

2014/5/17付
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日本と中国が閣僚交流の"復活"へ一歩を踏み出した。中国の巨大な消費市場に食い込みたい日本と、日本からの投資と技術を呼び込みたい中国――。両国はまず、安倍晋三首相の靖国神社参拝など政治問題と経済協力を切り離す「政経分離」で、関係改善を探る方向だ。

日本側は従来「対話のドアはいつでもオープンだ」(茂木敏充経済産業相)との姿勢を示してきた。いったんは大きく落ち込んだ自動車などの日本製品の販売もいまは回復基調にある。13億人超の巨大市場を巡って欧米勢との競争も激しくなっており、企業の間には早期の関係修復を求める声が多かった。

中国側にとっても「渡りに船」だった。日中関係の悪化が長引き、日本企業が対中投資を手控える動きが拡大。1~4月の日本からの対中直接投資は46.8%減と大きく落ち込んだ。多くの日本企業が中国から東南アジアへ事業シフトを進めていることもあり、中国側も「危機感を強めていた」(中国外交筋)。

深刻になる大気汚染も関係改善を後押しした。中国にとってはエコカーやクリーンな石炭発電など、環境分野で世界最先端の技術を持つ日本の協力が欠かせない。茂木経産相も「環境面で協力を進めていくことで認識を一致した」と強調する。

一方、課題も残る。茂木経産相は中国当局が商船三井の船舶を一時差し押さえたことや、戦時中の強制連行を巡って日本企業に損害賠償を求める訴えが相次いでいることに懸念を表明。中国の高虎城商務相は「中国は法治国家であり、海外企業の合法的な権益を守る」としたが、日本企業の間では「政治リスクがある限り投資には慎重になる」(大手商社)と不安は尽きない。

日本側は今回の閣僚交流を受け、11月に北京で開くAPEC首脳会議で安倍首相と習近平国家主席のトップ会談につなげたい考えだ。だが中国側は「関係悪化の責任は中国にはない」(高商務相)との姿勢を崩していない。ベトナムなど周辺国との領有権問題が先鋭化しているだけに「せめて日本との関係は改善しておきたい」との思惑が働いた面もあるようだ。

(青島=阿部哲也)

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