2019年2月18日(月)

家庭向け、規制継続の意見も 電力小売り自由化で経産省改革委

2012/3/7付
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経済産業省の電力システム改革専門委員会(委員長・伊藤元重東大教授)は6日、電力小売りの全面自由化に向けた論点を整理した。焦点の家庭向け料金では、既存の電力会社には政府による規制を残すべきだとの意見が相次いだ。自由化しても競争が起きない場合、独占的な企業が料金を引き上げる事態を懸念したものだ。新規参入を期待しづらい過疎地などで供給責任を誰が担うかも焦点となる。

政府は昨年末の電力制度改革の論点整理で全面自由化を打ち出した。消費者の選択肢を広げる狙いだ。今後、専門委で具体的な制度設計に入る。

政府は2000年から段階的に自由化範囲を広げた。現在は契約電力50キロワット以上のオフィスビルや工場など大口利用者はどの電力会社とも契約でき、料金も相対の交渉で決まる。一方、一般家庭は地域にある電力会社しか選べず、料金も横並びだ。

枝野幸男経産相は6日の委員会で「総括原価方式や地域独占の見直しなど様々な課題を解決し、精密な制度設計をする必要がある」と指摘。自由化の実現にはハードルが多いとの考えを示した。

焦点は料金規制だ。家庭向け料金は人件費や燃料費などの「原価」に利潤を上乗せする「総括原価方式」で決めているが、自由化した企業向け料金は規制を取り払った。「全面自由化した場合の料金規制には反対」(政策研究大学院大の大田弘子教授)との声もある。

一方、委員会では「選択肢として規制料金は必要」(東大の松村敏弘教授)、「当面は規制料金を残さざるをえない」(日本エネルギー経済研究所の小笠原潤一研究主幹)との意見が相次いだ。

具体像は定まっていないが、例えば次のようなイメージが考えられる。東京電力が規制料金と自由料金の2本建ての料金を示し、新規参入業者も自由料金を用意する。利用者は東電の規制料金、東電の自由料金、新規業者の自由料金の3種類から選べる。

一般的に自由料金は規制料金より割安だが、地震で原子力発電所が停止した場合などは自由料金は大幅に上がる一方、値上げに政府の認可が必要な規制料金は上がりにくい。「価格が安定している」として規制料金を選ぶ消費者もいるとみられる。

もう一つの課題は電力会社に課している供給責任をどうするか。電力会社は供給区域内の一般家庭への供給を断れない。全面自由化でこうした義務は外れる可能性もあるが、過疎地や離島では小売事業への新規参入が広がらない恐れがある。電気はすべての家庭で不可欠なので、こうした地域での供給責任を誰が負うかは大きな課題だ。

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