2018年10月24日(水)

しぼむ「中流」 年収650万円以上の世帯減る

2010/5/10付
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中流層の地盤沈下は百貨店にも影響を与える(大阪市北区の阪急百貨店梅田本店)

中流層の地盤沈下は百貨店にも影響を与える(大阪市北区の阪急百貨店梅田本店)

「中流層」の地盤沈下が進んでいる。日本経済の長期低迷が響き、賃金の下落が続いているためだ。総務省の家計調査をもとに試算したところ、2000年から09年までに年収650万円以上の世帯(家計調査ベースの全世帯の半分)が減っていることがわかった。05年以降は800万~900万円の世帯の減少が目立つ。中流層の受難は個人消費の伸び悩みと無関係ではない。

西武有楽町店(東京・千代田)、四条河原町阪急(京都市)……。大手百貨店が有名な店舗を相次いで閉める。10年中に11店を閉鎖する予定で、そごうが破綻した00年の15店に迫る勢いだ。

09年の百貨店売上高は13年連続で前年より減った。1984年と同じ水準に戻った格好だ。冬の時代が続く百貨店業界。その一因は日本の消費を支える中流層の減少にあるといわれる。

09年の家計調査によると、2人以上の勤労世帯の平均年収は621万円。年収500万~900万円の世帯は中流層と呼ばれ、全世帯の消費支出の4割を占める。第一生命経済研究所の熊野英生氏が00~09年の世帯数の推移を試算したところ、中流層が多い650万円以上の世帯が減っているのを確認できた。

平均年収800万~900万円の世帯数は00年以降、18%減った。1500万円以上、1000万~1500万円の上流層の世帯がそれぞれ、30%減、19%減となったのに続く、大幅な減少だ。

一方、200万~300万円、300万~400万円の世帯はいずれも50%以上伸びた。熊野氏は「高齢化の影響もあるが、中流層が下に落ちてきている」と分析する。

中流層の減少が際立つのは05年以降。200万~300万円が19%増えたのに対し、800万~900万円は17%減った。

10年越しのデフレにあえぐ日本。企業は雇用削減よりも、賃金カットで不況を乗り切ろうとしてきた。09年の名目雇用者報酬はピーク時の97年より1割近く少ない。賃金デフレが中流層の低所得化を促したといえる。

09年の家計調査では、被服および履物が00年に比べて26%減、交通費が19%減となった。消費支出全体の8%減を上回る落ち込みだ。この2つの費目をみると、年収800万円以上の世帯の支出がともに41%を占める。中流層の消費に頼ってきた業界が苦しむのも無理はない。

問題は中流層の収入を復元できるかどうかだ。鳩山政権は家計を直接支援するため、高校授業料の実質無償化や子ども手当の支給などを決めた。だが経済全体のパイを拡大しなければ、問題の解決にはならない。大和総研の熊谷亮丸氏は「企業の活性化を含めた総合的な成長戦略を実行すべきだ」と指摘している。

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