全日空・日航、787定期便の運航再開 内外で巻き返し - 日本経済新聞
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全日空・日航、787定期便の運航再開 内外で巻き返し

(更新)

全日本空輸と日本航空は1日未明、ボーイング787型機の定期便の運航を再開した。中核機材が約4カ月半ぶりに復帰したことで、両社は再び成長戦略を加速する。利用者の不安は残るものの、予約は現在のところ堅調だ。両社は国内外で787の投入路線を拡大し巻き返しを狙う。

全日空と日航の787の定期便運航再開の初便はともに羽田発の国際線となった。全日空は羽田―フランクフルト線、日航は羽田―シンガポール線で両便とも午前1時ごろに羽田を出発した。

両社は日米運輸当局から運航再開の認可を4月26日に受けて以降、約1カ月かけ500回以上の試験飛行を繰り返した。トラブル原因となったバッテリーの安全確認とパイロットの訓練を徹底した。再開初便に搭乗する直前、全日空の篠辺修社長は「自信を持って定期便を提供できるようになった」と語った。

世界最多の18機を保有する全日空、8機保有する日航それぞれにとって787の不在は痛手だった。トラブルが起きた1月16日から6月末まで787欠航の業績への影響は全日空で約75億円、日航は5月末で約39億円の営業減益要因となる。両社合計で100億円超の利益が吹き飛ぶ計算だ。

待望の787復帰を受け、両社は同機の投入路線を増やす。全日空は1日から羽田―秋田線、国際線でも羽田―台北など近距離路線中心に重点投入し、合計18路線に拡大。日航は7月以降、成田―デリー、羽田―サンフランシスコ線など国際線の中・長距離路線を中心に5路線増やし計11路線にする。「燃費が良く、中型機でありながら長距離を飛べる787の特性を生かす」(日航の植木義晴社長)

原因究明作業は途上なだけに利用者の787離れが懸念される。全日空便に搭乗した50代の男性は「十分にトラブルが検証されたか疑問」と語った。787が飛ぶ国内路線の6月予約数は前年同月比8%増。日航は787を国際線でのみ運航するが、787の6月の予約率は国際線全体と同程度だ。1日の両社の便はほぼ満席で、営業面でのトラブルの影響はとくに出ていないという。「利用者は冷静な対応をしている」と全日空の篠辺修社長は胸をなで下ろす。

格安航空会社(LCC)や海外勢との競合が激しくなる中、787便への利用者動向が両社の成長のカギを握りそうだ。

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