格安航空、はや値下げ合戦 国内3社運賃出そろう
全日本空輸系の格安航空会社(LCC)、エアアジア・ジャパンは30日、8月に就航する成田―札幌、福岡、那覇の3路線の価格を発表した。これで国内LCC3社の運賃が出そろったが、7月に就航するジェットスター・ジャパンが競合路線で値下げを表明。早くも価格競争が始まった。
エアアジア・ジャパンの運営はマレーシアに拠点を置くアジア最大のLCC、エアアジアが主導権を握る。「低運賃で日本市場に革命を起こす」(トニー・フェルナンデス最高経営責任者=CEO)。成田―札幌線の場合、予約開始直後は4580円。座席が埋まるに従い価格が上がる仕組みで、最高は1万8880円。全日空や日本航空など大手航空会社の料金に近づく。
同日夕、日航が出資するジェットスター・ジャパンが競合する3路線で値下げを発表した。利用者に路線最安値を提供する制度を取り入れているためで、競合3路線の最低運賃を当初予定よりも100~500円下げ、エアアジア・ジャパンより90円安くした。
ただLCCの価格競争には限界もある。国内の空港使用料や燃料税などは海外よりも高いためだ。航空会社の採算性を示すユニットコスト(1座席を1キロメートル運ぶのにかかる費用)はエアアジアが3円台。「エアアジア・ジャパンは6円台どまり」(エアアジア・ジャパンの岩片和行社長)
LCCの泣きどころは2つある。一つは「パッケージ旅行に組み込みにくい」(旅行大手)という点。JTBや近畿日本ツーリストなどは、大手航空会社から国内線座席を仕入れる際、出発日の2週間程度前までなら座席を返してもキャンセル料が発生しない契約を結んでいる。しかしLCCの座席は完全売り切り制で、在庫リスクが高い。

拠点とする成田国際空港や関西国際空港が大都市中心部から離れた場所にあることも利用者拡大の足かせ。空港までの交通費と時間を勘案すると魅力は薄れる。「都心部から空港まで割安の専用バスを走らせることを検討する」(エアアジア・ジャパンの岩片社長)。利用者獲得に向け次の一手も出始めた。
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