航空2社決算、787の運航停止響く 13年3月期
日本航空(JAL)とANAホールディングスは30日、2013年3月期連結決算を発表した。旅客需要は好調だったが、ともに「ボーイング787」の運航停止や円安の影響が避けられなかった。JALの経常利益は1858億円と前の期比6%減少。ANAも、営業利益で1038億円(7%増)と最高を更新したものの従来予想の1100億円は下回った。
JALは成田―ボストン線の開設などで旅客数が伸び、前期の売上高は1兆2388億円と3%増。純利益は1716億円で8%減ったが、最高益(前の期の1866億円)に迫る水準を確保したことで、配当を年190円と従来予想から10円上積みする。7機保有する787の運航停止は1~3月期で13億円の営業減益要因となった。
ANAの前期の売上高は1兆4835億円で5%増。787を17機保有し、運航停止による営業利益の押し下げは35億円弱だった。コスト削減などで経常利益(769億円、12%増)は最高になったが、1~3月期だけでみると経常赤字は121億円(前年同期は30億円の赤字)に拡大した。
両社とも6月に787の運航を再開する予定。JALは4~5月の停止を前提に26億円の減益要因を見込み、ANAは4~6月の3カ月間まるまる停止する前提で約40億円の減益を想定している。
今後は「アベノミクスの効果でビジネス・観光需要が動き出す」(JALの植木義晴社長)が、円安による燃油費増加が一段の重荷となる。JALの今期の経常利益は1270億円(前期比32%減)、ANAは800億円(4%増)の見通し。
同日、JALは787運航再開に向け、延期していた成田―ヘルシンキ線を7月に開設すると発表。ANAはシンガポールに投資管理会社を設立し、アジアの航空会社などに出資を検討することを明らかにした。
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