動き出した政府のICT戦略 ビッグデータ、スマート技術に活路
編集委員 関口和一

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2012/5/31 7:00
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東日本大震災により停滞していた政府のICT(情報通信技術)戦略が再び動き始めた。総務省は7月にも新総合戦略の「アクティブICTジャパン(仮称)」を立案、知的財産戦略本部は「知的財産推進計画2012」で電気自動車(EV)技術の国際標準化戦略を示すなど、ICT分野の国際競争力強化に力を入れる方針を打ち出した。震災以降、被災地の復旧や復興、福島原発事故への対応が政府の最優先課題だったが、ようやく成長を促すための新しい政策が登場した。

「日本の競争力を高めるにはビッグデータの活用が欠かせない」。総務省の情報通信審議会に設けられた「ICT基本戦略ボード」の会議が28日開かれた。「ビッグデータ」とは様々なセンサーやソーシャルメディアなどから得られる大量情報を指し、それを分析することで経済活動を効率化できるといわれる。米国がリードする技術だが、日本も戦略分野に位置付けるべきだと、ボードのもとでビッグデータの研究主査を務めた森川博之東大教授は強調した。

ICT基本戦略ボードは村上輝康産業戦略研究所代表を座長に昨年秋設けられた専門家チームで、2020年に向けた日本の新しいICT戦略を立案する任務を負う。情報通信審議会はICTによる「新事業創出」と「研究開発」を促そうと昨年初めに各専門委員会を立ち上げたが、その直後に震災が発生。議論が中断してしまったために、新しい戦略を急ピッチでまとめる部隊としてボードを設けた。その中で特に緊急性が指摘されたのが「ビッグデータ」だ。

ビッグデータの活用に先べんをつけたのはグーグルやアマゾン・ドット・コムといった米国のネット企業だ。無線ICタグや全地球測位システム(GPS)、スマートフォン(高機能携帯電話)などから得られる大量のデータをクラウドコンピューティング基盤に蓄積し、顧客情報管理やマーケティングなどに使い始めた。そうした大量データを並列処理で高速に分析する「Hadoop(ハドゥープ)」といったオープンソースのソフトウエアも登場。大量の情報が米国に集まる仕組みが広がり始め、手をこまぬいていれば日本の情報がすべて米国に牛耳られてしまうという危機感が後押しした。

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