東電、実質国有化へ 1兆円資本注入を申請
総合計画は4月半ばまでに

2012/3/29付
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記者会見する東京電力の西沢社長(29日、東京都千代田区の東電本店)

記者会見する東京電力の西沢社長(29日、東京都千代田区の東電本店)

東京電力は29日、政府の原子力損害賠償支援機構に対して1兆円の資本注入を申請した。福島第1原子力発電所の事故に伴う賠償支払いのため、約8459億円の追加支援も要請した。資本注入されれば政府の公的管理下に入る。東電と機構は再建に向けた「総合特別事業計画」を3月末までに枝野幸男経済産業相へ提出する予定だったが、かなめとなる勝俣恒久会長の後任人事が難航。計画の重要部分が白紙のまま資金援助だけ求める異例の事態になった。今後、新会長の人選を急ぎ、4月半ばまでの提出を目指す。

機構が東電に1兆円を出資した場合、どのくらいの議決権を握るかについても決着は先送りされた。機構は少なくとも過半を取る意向だが、東電は3分の1程度に抑えたい考え。機構と東電は新会長の意向も反映して決める。新社長や社外から過半を招く取締役も、新会長が選ぶ。すでに勝俣会長は原発事故の責任を取って辞任する意向を表明しているが、賠償や原発再稼働など難題が山積するだけに、後任選びは時間がかかっている。

同日、東電本店で会見した西沢俊夫社長は、資本注入の申請について「経営状況が厳しいなか手を尽くしたが、こうした事態に至ってしまった」と述べた。その上で、公的管理下に入っても「経営合理化を徹底していく」と強調した。自身の経営責任については「総合計画の中で会社全体としてしっかり織り込む」と述べるにとどめた。

一方、機構の下河辺和彦運営委員長は同日、記者団に対し、総合計画の提出が遅れる理由を「会長も含めた広い意味での人事が定まらないため」と説明した。総合計画の柱となる東電に対する議決権割合やリストラ策などについて、新会長の意向を踏まえる必要があるという認識を示した。

東電が資本注入の要請を迫られたのは、原発の廃炉費用が今後膨らむことや、原発停止による火力発電の燃料費が急増しているため。資本注入などを受けるには、枝野経産相から総合計画の認定を受ける必要がある。認定されれば、機構の出資と賠償資金支援による東電への公的支援額は合計3兆4千億円を超える。

機構は東電の6月末の株主総会後に、1兆円分の東電株を引き受け、公的管理下に置く。ただ機構が東電株を引き受けるには、株主総会で出席株主の3分の2以上の支持が求められる特別決議が必要だ。

枝野経産相が4月からの企業向け電気料金の引き上げを巡り、行政指導をする考えを示したことについて、西沢社長は「何度でも(顧客に)足を運んで同意を取っていく」と述べた。

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