「当社はコンテンツ作りそのもののノウハウはないが、どんな動画がよく見られているかの傾向は分かる。見られる動画を作るコツを、ノウハウとしてまとめた」(水野執行役員)
そして第三の策が広告の強化だ。利用者が視聴した広告についてだけ広告主に課金する「成果報酬型」の広告商品を拡販中だ。「世界の主要な広告主企業の上位100社中、90社が導入している。この1年で倍増した」(米グーグルのルーカス・ワトソン副社長)。
ワトソン副社長によると、「企業はブランド価値確立の場としてユーチューブを活用し始めた」。例えば江崎グリコは、妻夫木聡と松嶋菜々子を起用し、1本60秒で3部作から成るドラマ仕立てのCM動画をユーチューブ用に制作した。「テレビでは流しにくいCMでも、ユーチューブならば流せる」。
広告主企業にとっての魅力は、広告効果の高さだ。成果報酬型の広告の場合、視聴者は閲覧するか飛ばすかを選ぶことができる。利用者が閲覧した広告の種類や閲覧時間、閲覧回数など、既存のテレビ広告では得るのが難しい情報も得られる。広告を充実させることで、独自動画も充実する。それが利用者を呼び、さらに広告媒体としての価値が高まるという好循環を作り出そうとしているわけだ。
ユーチューブ強化の延長線上にあるのは「スマートテレビ戦略」だ。
スマートテレビとは、インターネットに接続して利用することを前提にした多機能テレビのこと。既存のテレビ放送のほか、一般のウェブサイトを閲覧したり、映画やドラマを好きな時間に視聴できるビデオ・オンデマンド・サービスや交流サイト(SNS)を利用したりできる。
グーグルは昨年11月、スマートテレビ向け基盤ソフト「グーグルTV」の最新版を公開した。スマホ用OSのアンドロイドを基に開発したもので、既存のテレビ番組の視聴やウェブサイト閲覧が可能。もちろん、ユーチューブの動画も視聴できる。
グーグルがユーチューブのテレビ局化を急ぐのは、パソコンやスマホに加えてテレビでもユーチューブを違和感なく視聴できるようにするのが狙い。大きさや使い勝手の異なる複数の画面(マルチスクリーン)の間で使用感を統一するのは、グーグルの基本方針だ。
とは言え、グーグルは既存のテレビをネット動画で置き換えることだけを目指しているわけではない。目指すのは利用者ごとに最適化した番組やネットコンテンツ、ネット広告を配信できるようにすること。そのために同社のサービスをフル活用する。
利用者が最後に見た動画、ネット検索の結果、SNSを通じての友人からのお薦め動画…。スマホやSNSとの連携機能を基に、利用者のプロフィルを構築して最適な情報を最適なタイミングで提供する。スマホ・ソーシャル時代のテレビ局こそが、グーグルの目指す究極の姿と言える。
(産業部 玉置亮太)
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