日航、定年後の再雇用凍結 事業の大幅縮小で
会社更生手続き中の日本航空は、60歳以上の定年退職者を契約社員として再雇用する制度を当面凍結する方針を固めた。今秋以降に国内外45路線を廃止するなど事業規模を大幅に縮小するため、退職者に就業機会を提供するのは困難と判断した。労働組合と調整し、策定中の更生計画案に盛り込む。
現在、子会社のJALグループシニアセンター(JGSC、東京・品川)を通じて高齢再雇用者330人を各職場に派遣している。7月以降の退職者はJGSCで再雇用せず、再雇用中の330人も契約が終わり次第、雇い止めにする方針。
また、現在は55歳の時に定年後の意向を確認し、再雇用希望者には賃金を減額する措置を取っている。再雇用制度の凍結に合わせて、減額分を一部払い戻す。
JGSCは2005年11月の設立。運航トラブルや整備ミスが多発した時期で、再発防止策としてベテラン整備士の再雇用が目的だった。65歳までの安定した雇用機会の提供を企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が06年に施行されたのを受け、対象職種を全分野に広げた。
一部の労組からはコンプライアンス(法令順守)の観点から制度凍結を懸念する声が出ているが、管財人の企業再生支援機構は「関係省庁からは一定の理解を得ている」としている。経営再建が軌道に乗り次第、凍結措置を解除する方針だ。