ファストリ、米で売上高1兆円目指す 柳井社長に聞く
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長はニューヨーク5番街の旗艦店改装に合わせて訪米し27日、日本経済新聞などのインタビューに応じた。米国の売上高が「1兆円くらいないといけない」と述べ、海外事業の強化を改めて強調した。米国では将来のニューヨーク証券取引所への上場も示唆した。主なやりとりは以下の通り。
――2020年に売上高を現在の5倍にあたる5兆円にする目標を掲げている。その中で米国事業の役割は。
「今までは(欧州の存在感が大きい)大西洋の時代だが、今からは太平洋。中国からインド、南米まで含めすごい経済圏になる。(要となる米国は)我々が世界一のアパレル製造小売業になるなら絶対に無視できない市場だ。(売上高は)1兆円くらいないといけない」
――米国事業はまだ赤字で、店舗数は約20店だ。
「方向性やビジョンは正解だ。満足はしている。あとはいかに米国のお客様に我々がやっていることを理解してもらうか。とりあえず東西海岸の主要都市からやっていく。10年後、米国は素晴らしい事業になっている」
――M&A(合併・買収)で成長する選択肢もある。
「チャンスがあればやっていきたい。ただ、(同業他社とは)文化や基本的な考え方も違う。単純におカネで買うだけではすまない。5兆円の目標はオーガニック(自社の成長)だけでもいけるんじゃないかと思う」
――今月、香港証券取引所に上場したが、ニューヨーク証取への上場を目指す考えは。
「将来的にはあると思う。もっと事業が大きくなると可能性はある」
――公言していた「65歳で引退」を撤回して社長を続けている。後継の育成は。
「僕は一生引退できないんじゃないか(笑)。でも、もう65歳なのでやっていかないといけない。2人の息子にはできたら株主として会長か副会長をやってもらいたい。(会社のトップと位置付ける)社長には本当に能力がある人がなるべきだ。(候補になりうる幹部が)今、世界中で実際に経営をしている。(後継育成は)できていくと思う」
(ニューヨーク=杉本貴司)
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