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フェイスブックIPOでもうかるのは誰?

1000人以上が「億万長者」に仲間入り

交流サイト(SNS)の世界最大手、米フェイスブックが株式上場の意向を明らかにして約1カ月。新規株式公開(IPO)に踏み切れば、2004年に上場した米グーグルを調達額で上回る予定で、米ネット企業として過去最大のIPOに市場の期待は膨らみ続けている。米メディア報道によると、今回のIPOを通じて、新たに1000人以上が「億万長者(資産が100万ドル=約8000万円を超える人)」の仲間入りをする見通し。

フェイスブックIPOで"ニューマネー"を手に入れるのはどんな人たちなのか?同社が米証券取引委員会(SEC)に提出した申請書類を通じて、読み解いてみた。

(1)マーク・ザッカーバーグ氏

今回のIPOで資産が一番増えるのは、間違いなく同社の創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるマーク・ザッカーバーグ氏だ。同氏の株式の保有比率は28.4%。フェイスブックの上場後の時価総額は最高1000億ドルに達するともいわれ、その場合、同氏の保有株の価値は284億ドルに上る。

だが、ザッカーバーグ氏が同株を売却し、すぐに現金化する可能性は低そうだ。SECに提出した資料に添付した"創業者からの手紙"のなかで、「IPOするのは、従業員と(同社に)投資してくれた人たちのため」と述べ、個人的な金もうけには関心がないことを明言している。

(2)アクセル・パートナーズ&ブレイヤー氏

ザッカーバーグ氏に次ぐ"大株主"は、米有力ベンチャーキャピタル(VC)のアクセル・パートナーズだ。パートナーのジム・ブレイヤー氏は、フェイスブックの将来性をいち早く見抜いた投資家として知られ、同社の取締役も務める。アクセル・パートナーズとブレイヤー氏の持ち分を合わせると、持ち株比率は11.4%。

ブレイヤー氏がフェイスブックに投資したのは05年。フェイスブックは、04年にサービスを開始したばかりで、当時は学生だけを対象にした交流サイトで、成長性を疑問視する投資家も多かった。

当時の投資額は1300万ドル。IPO後のフェイスブックの時価総額を1000億ドルで試算すると、アクセル・パートナーズの持ち株は114億ドルに相当する。単純計算すると「7年間の投資でリターンは877倍」ということになる。

(3)ダスティン・モスコビッツ氏

フェイスブックは、ザッカーバーグ氏が米ハーバード大学在学中に寮で同室だった仲間らと立ち上げたことで知られるが、ダスティン・モスコビッツ氏はこの立ち上げメンバーの1人。持ち株比率は7.6%で、IPO後の価値は推定76億ドル。

 モスコビッツ氏は08年にフェイスブックを離れ、別のネット企業を立ち上げて自ら連続起業家として活躍する一方で、初期段階の新興企業を支援するエンジェル投資にも積極的に取り組んでいる。フェイスブックIPOで新たな収入を得たら、さらにエンジェル投資に力を入れる可能性がありそうだ。

(4)DSTグローバル&ユーリ・ミルナー氏

フェイスブック株の保有率で4位につけたのは、米有力ネット企業に積極投資しているロシア系ファンド、DSTグローバル。総帥のユーリ・ミルナー氏は、新興ネット企業の目利きとして知られ、フェイスブック以外にもオンラインゲームのジンガやクーポン共同購入サイトのグルーポンなどに投資している。

フェイスブックへの初回投資は、09年5月。当時40億~60億ドルが妥当とみられていたフェイスブックの企業価値を100億ドルと試算、2億ドルの出資と引き換えに全株式の約2%にあたる優先株を獲得し、西側の投資家やVCを驚かせた。その後も株式を買い増し、現在の保有率は5.4%。IPO後の時価総額が1000億ドルと仮定すると、3年前の"強気の予想"を10倍も上回る水準で、ミルナー氏の読みに間違いはなかったようだ。

ただ、ザッカーバーグ氏同様、こちらもすぐに現金化する予定はなさそう。DSTはフェイスブックとの間で、保有する株式の一部を一定期間は売りに出さないという条件で合意している。DSTが保有株全部を自由に取引できるようになるのは18カ月後。IPO後の大幅な価格変動を懸念するフェイスブックをDSTが"側面支援"する形となりそうだ。

(5)番外編 ザッカーバーグ氏の父親

SECへの提出書類によると、フェイスブックは「04~05年、ザッカーバーグ氏の父親から起業資金を受け取った」。具体的な支援金額は表記されていないが、お礼として同社は09年末、同社の普通株200万株を同氏に対して譲渡したという。IPO時の1株価格が未定なので、まだ簡単に試算はできないが、ザッカーバーグ氏の父親が保有する株式の価値は1億ドルに達する可能性がある。

提出書類では、"ザッカーバーグ氏の父親"とだけ表記され、名前も公開されていない。だが、米メディア報道によると、父親の名前はエドワードで、ニューヨーク州在住で歯科医を営んでいるそうだ。

4~6月期ともいわれるフェイスブックのIPO。初期投資家から元従業員までの多様な人たちが新たな"資金"を手に入れることは間違いない。フェイスブックの本社があるシリコンバレー周辺では「不動産が値上がりするのでは」との意見があがっているほど。財政難のカリフォルニア州ではフェイスブック効果で歳入増を期待する意見まで出始めている。

シリコンバレーでは、成長しIPOした企業の"卒業生"が資金と経験を持って、若い企業に転職したり、自ら起業したりすることで活力を維持してきた経緯がある。フェイスブック特需がカリフォルニア州経済全体にどのぐらいの影響力を持てるかは未知数だが、新たなネット企業を生み出す活力になることは間違いないだろう。

(ニューヨーク=清水石珠実)

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