シャープ、国際分業で再建急ぐ 鴻海が筆頭株主に

2012/3/27 23:30
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シャープは27日、EMS(電子機器の受託製造サービス)で世界最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業と資本業務提携すると発表した。鴻海グループがシャープ株の約10%を取得し、事実上の筆頭株主となる。液晶パネルを製造する主力拠点の堺工場(堺市)にも約46%を出資し、同工場の生産量の半数を引き取る。シャープは液晶パネルから薄型テレビまで一貫生産する事業モデルを転換。鴻海との国際分業でコスト競争力を強化し、経営再建を急ぐ。

業績が低迷する日本の電機大手ではNECが中国レノボ・グループとパソコン事業を統合したほか、パナソニックは中国海爾集団(ハイアール)に傘下の三洋電機の白物家電事業を売却した。成長を続けるアジア企業との連携で生き残りを図る流れが加速しそうだ。

シャープが5月から2013年3月までに実施する第三者割当増資を鴻海グループ企業4社が引き受け、合計で約10%を出資する。

同時に堺工場を運営するシャープの子会社、シャープディスプレイプロダクト(堺市)には鴻海の郭台銘董事長が約46%出資する。創業者が自ら関与することで戦略提携との位置付けを明確にする狙いとみられる。シャープの出資比率は現在の約93%から約46%に低下する。約7%を出資するソニーは将来、保有株式をシャープに売却する公算が大きい。

シャープは増資と子会社株式の売却により約1300億円を調達する。資金を液晶などの新たな技術開発に充てる。

09年10月に稼働した堺工場は世界最大のガラス基板を使い、60型以上の超大型液晶パネルを効率よく生産できるのが強み。鴻海グループは10月から同工場の液晶パネルを引き取る。シャープは大口供給先を確保することで同工場の安定操業につなげたい考えだ。

堺工場は「昨年末まで80~90%の稼働率を維持してきた」(同社)が、世界的なテレビ販売の不振と価格下落で足元の稼働率は50%に下落。長引くと減損処理を迫られる恐れもあった。

事業面では液晶パネルだけでなく、太陽電池など幅広い分野での提携を検討する。両社は毎月、経営幹部を交えた協議会を開き、提携による相乗効果を高めていく。

台湾・鴻海グループとの提携を発表するシャープの奥田隆司常務執行役員

台湾・鴻海グループとの提携を発表するシャープの奥田隆司常務執行役員

シャープは今期、主力の液晶事業の不振などで過去最大となる2900億円の最終赤字に転落する見通し。同日都内で記者会見したシャープの奥田隆司・次期社長は「競争環境が厳しくなる中、液晶パネルの生産からテレビ販売まで自社で手掛ける垂直統合では限界があった」と説明。大量生産で価格競争力の高い鴻海グループと組むことで、新たな事業モデルの構築に乗り出す。

鴻海グループは中国の巨大工場を生かした低コスト生産を武器に成長してきたが、人件費上昇を背景に利益率が低下している。シャープの技術力を取り込み製品の付加価値を高める。

これまでシャープは、鴻海グループと液晶パネル部材の共同調達や省エネ性能に優れたパネルの製造技術供与などを巡って提携を協議。連携を深めることで合意していた。

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