CO2を回収し再利用 重工各社、新技術売り込む

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2013/9/30 7:00
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二酸化炭素(CO2)が増えれば、重工各社の仕事が増える――。「風が吹けば桶(おけ)屋がもうかる」ような動きが出始めた。地球温暖化を防止するため製造業各社が排出抑制に知恵を絞るCO2を「収益源」に転換しようという取り組みだ。

■窒素もCO2も「製品」に

重工各社の最先端を走っているのはIHI。石炭火力発電所が排出するCO2を再利用する技術を開発し、2015年にも米国の電力会社に装置の販売を始める計画を持っている。

仕組みはこうだ。まず空気から窒素を取り除いたうえで、石炭を燃やした後に出る排ガスからCO2を回収する。窒素は肥料工場などに販売できるほか、シェールガスを掘削する際のガスとしても利用できる。CO2は油田の採掘補助などとして、油田開発を手掛ける石油メジャーなどに売り込む。

CO2の回収技術は複数の企業が研究しているが、窒素とCO2を的確に分離し、用途を分けることで「製品価値」を高められるのが長所だ。

IHIによれば、発電能力30万キロワットの発電設備に回収装置を取り付けた場合には200億円程度の建設費が必要となる。それでも取り出したCO2と窒素を他社に販売することで、2~3年で初期投資を回収できる見通しだという。

IHIは複数の手法でCO2回収技術の実用化をめざす(豪州の石炭火力発電施設)

IHIは複数の手法でCO2回収技術の実用化をめざす(豪州の石炭火力発電施設)

米国では発電能力の4割以上を石炭火力に頼るとされ、CO2回収装置の需要は大きい。ある重工大手の担当者は「ただ単純にCO2を回収するだけでなく窒素も分離して"製品"としての価値を高められるという点で、IHIの技術は先進性が高い」と評価する。

「CO2で石油が増える」――。そんな事業に踏み出すのは三菱重工業。同社は火力発電所などの排ガスからCO2を効率よく回収し、油田に送り込んで原油の採掘量を増やせる独自技術を生かしたプラントの受注活動に力を入れている。

同社によれば油田では一般に、埋蔵する原油のうち実際に採掘できるのは3割程度という。粘度が高く、吸い上げにくいことなどが原因だ。三菱重工が開発した技術では高い圧力をかけたCO2を原油層に送り込み、原油に溶かして流動性を高める。

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