ソニーがカーナビ撤退 スマホ普及で市場細る
カメラや音楽機器も苦戦続く
スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)に押され、専用端末の市場が縮小している。ソニーは27日、携帯型カーナビゲーション機器(PND)から撤退すると表明。スマホ向け地図ソフトの普及で成長が見込めないと判断した。スマホ搭載デジカメの高性能化に伴い、ビデオカメラや低価格のデジタルカメラも苦戦。専用端末ならではの強みをどう打ち出せるかが問われている。

ソニーは27日、販売中のPND「ナブ・ユー」5機種すべての出荷を年内に終了すると発表した。今後も修理サービスなどには応じる。PNDは車のダッシュボードの上などに設置する簡易型カーナビで、ソニーは2007年3月に発売した。組み込み型のカーナビからも撤退済みのため、PNDの出荷終了でカーナビ製品から全面的に撤退することになる。
PNDは既存のカーナビより低価格なことが支持され、09年まで前年比1.5倍のペースで国内市場が拡大した。ただ、全地球測位システム(GPS)や地図機能を備えるスマホが普及した11年以降は一転、縮小傾向にある。ソニーはカーナビ市場でシェア下位だが、パナソニックなどPND大手も今後は厳しい戦いを迫られる見通しだ。
ビデオカメラやデジカメも苦戦している。JVCケンウッドは昨年11月にスマホと競合する簡易型ビデオカメラの出荷を停止した。カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、12年のコンパクトデジカメの国内出荷台数は前年比7.5%減の740万台にとどまる見込みとなっている。
携帯音楽プレーヤーの国内市場規模も11年以降は縮小が続く。東芝などの大手が相次ぎ撤退、現在は米アップルとソニーが市場をほぼ二分する。
今後も販売を続ける企業にとっては専用端末ならではの魅力をどう打ち出すかが求められる。デジカメ各社はレンズ交換ができる小型・軽量の「ミラーレス」デジカメ新製品を次々に発売。ビデオカメラ各社は手ブレ補正や防水性能を強化した上位機種の品ぞろえを拡充している。一方、JVCケンウッドがスマホで遠隔操作できるビデオカメラを売り出すなど、スマホとの連携を売りにする機器も増えそうだ。
関連企業・業界