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エコ生活も売電も、スマートタウンで育つ「賢い消費者」

大和ハウス工業が堺市南区の小学校跡地を再開発し、太陽電池とリチウムイオン電池を全棟に装備したスマートタウン「スマ・エコタウン晴美台」(全65区画)の分譲を開始した。半分の住宅は燃料電池も併設したトリプル電池で、エネルギー自給率をさらに高めている。今年4~6月のエネルギー自給率は89%に達した。景観にも配慮し、電線を地中に埋設した。

電力消費を「見える化」

全戸に太陽電池を装備したスマートタウン「スマ・エコタウン晴美台」(堺市南区)

総事業費は25億円で土地面積は1万6754平方メートル。国土交通省が2012年度に公募した「第1回住宅・建築物省CO2先導事業」に採択され、堺市の補助金も出たために、太陽電池や蓄電池などのコスト増分はほとんど相殺できたという。全戸にインターネット回線を引き込み、各自がHEMS(家庭用エネルギー管理システム)で電力消費状況を確認できるようにした。電力消費の「見える化」で省エネ効果が期待できる。すべてが建売住宅で平均価格は4400万円。

堺市にシャープの大型工場がある関係で太陽電池はすべてシャープ製。蓄電池は大和ハウスが出資しているエリーパワー(東京・品川)のリチウムイオン電池を採用した。過充電やショート、外部からの衝撃に対しても発火・破裂しにくいリン酸鉄リチウムを正極に採用している。

空調の効率を高める目的で風が通りやすい方向に道路を整備し、サッシの外側に強い日照を遮るスクリーンを取り付けた。壁は東北地方の住宅並みの高断熱仕様にし、屋外の風を受け止めて室内に取り込む「縦すべり窓」も付いている。雨水をためるタンクや電気自動車の充電用コンセントも標準装備にした。

各家庭が余剰電力を関西電力に売電する際、蓄電池を併設していると、買い取り価格を引き下げる仕組みがある。電気代の安い夜間にためた電気を、昼間に高い値段で売電できると不公平という批判を避けるのが目的だ。晴美台では電気の使用量が一定の度合いを超えるまで放電しない仕組みを設け、買い取り価格の押し下げが生じないように関電と交渉した。

再生可能エネを生産・販売

家族が仕事や学校に行って留守の昼間は電気消費が減る。太陽電池で起こした電気の一部は自家消費するが大半は売電に回る。深夜電力をため込んだ蓄電池は作動しないため、売電量を押し上げることはない。夕方になり太陽電池は発電せず、炊事などで電気の消費が増える時間帯になると蓄電池が割安な電気の放電を始める。結果として関電に支払う電気代を減らし、売電量の最大化につながる。こうした使い方は住民自身が編み出した。

集会所で充電中のカーシェアリング用電気自動車(堺市南区)

 アルビン・トフラーは著書『第三の波』で、農業革命による「第一の波」、産業文明の出現に伴う「第二の波」に続いて訪れる「第三の波」の基盤の1つに「再生可能なエネルギー資源」を挙げ、第三の波の下では新しい経済が出現し、「プロシューマー(生産消費者)」が増えると指摘した。これまで電気エネルギーは電力会社が生産し、消費者がこれを購入して消費してきた。だが固定価格買い取り制度の開始によって、消費者は電気を買うだけでなく、再生可能エネルギーを生産して電力会社に販売するプロシューマーとなった。

エネルギー戦略研究所の山家公雄所長は「プロシューマーはエネルギー問題に敏感で、環境に与える負荷が小さい暮らし方を工夫し、少々割高であっても環境に優しい商品を選ぶ」と話す。晴美台の住民はまさにプロシューマーとしてスマートハウスを選び、最適な使い方を工夫している。

EV稼働率アップめざす

調整池の上や集会所の屋根に太陽電池を並べ、大型蓄電池に蓄電している。カーシェアリング用の電気自動車(EV)にも充電する。集会所とEVを合わせると38.7キロワット時の蓄電容量がある。停電時も集会所の照明やトイレ、冷蔵庫などに電気を送れる。

誤算は管理組合で所有するカーシェアリング用EVの稼働率が低いこと。入居者の2台目クルマ需要を当て込んでいたが、予想外にクルマを2台持つ世帯が多く、利用が伸び悩んでいる。住民同士の節電コンテストを開催し、成績優秀者にEVの充電チャージポイントを交付するなどで稼働率引き上げを狙っている。

(編集委員 竹田忍)

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