迷走する石炭火力入札 環境省は対決姿勢、不成立の恐れ

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2013/3/4 7:00
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3.11を契機に日本を取り巻くエネルギーの常識は一変したと思われがちだが、なぜか顕著な変化が見られない事例もある。その一つが石炭火力発電に対する環境省の対決的といってもいいほどの厳しい姿勢だ。

石原伸晃環境相は東電の火力入札に厳しい姿勢を示す

石原伸晃環境相は東電の火力入札に厳しい姿勢を示す

電力業界や産業界に衝撃が走ったのは、1月15日の石原伸晃環境相の記者会見。東京電力が実施しようとしていた石炭火力の入札について聞かれ、「私は非常に心を痛めています」「我が省のレーゾンデートルたる二酸化炭素(CO2)の削減、これには非常にネガティブな装置である」「(大型の石炭火力設備が新設されると)CO2を年間どの程度排出するのか。これは私も大変、環境省として非常に存続にかかわる問題ですんで、今、事務方に計算させてます」と発言した。

東電の入札とは、原発の不稼働による電源不足を補うために、260万キロワット分の電気を外部から買い入れるというもの。1キロワット時当たりの買い取り価格の上限を9.53円に設定し、明示こそしていないが、石炭火力を想定しているのは明らかだ。

そうでなくとも、この入札の注目度は高かった。3.11以降、各電力会社は小型のガスタービンの設置や老朽火力設備の再稼働で供給増を図ってきたが、大型の設備投資に踏み切るのはためらいがあった。原発が再稼働すれば、新設備は不要になる。震災から2年たっても電力業界を覆うそんな不透明感は晴れないが、そのなかで大型投資を促す最初の仕掛けが今回の東電の入札だ。

東電自体にはもはや投資余力がなく、自前の石炭火力設備を持つ鉄鋼メーカーや化学メーカーが新規に電源をつくれば、IPP(独立系発電会社)として安定した収益源になる。素材各社がビジネスチャンスと色めきたったゆえんだ。

ところが、石原発言が熱気に水をかけた。環境省は入札そのものの取りやめを経済産業省などに働き掛けたが、それはさすがに難しく、東電は2月半ばに5月24日を期限とする入札を開始した。だが、応札企業は落札できたとしても、大型発電設備の新設には事前の環境アセスメントが必要。その際に環境省が厳しい意見を述べれば、計画は頓挫しかねない。

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