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ゴーン日産社長「東北に投資続ける」 製造業復旧進む

東日本大震災で大きなダメージを受けた東北地方の製造業の復旧が進んできた。日産自動車は福島県のいわき工場(いわき市)で高級車向けエンジンの増産を表明。地域経済復興の鍵を握る水産加工業でも工場の新設・再稼働が本格化する。製紙、石油製品なども生産を再開するが、市況が悪化しており供給過剰を懸念する声もある。

26日にいわき工場を視察した日産のカルロス・ゴーン社長は2012年度のエンジン生産は「少なくとも30万基以上」(ゴーン社長)とし、11年度に比べ増産になる見通しを示した。地盤沈下した工場の基礎改修工事などに30億円を投資することも表明した。

ゴーン社長は「日産は東北に投資を続ける」と語り、円高や電力不足によるいわき工場の縮小懸念を明確に否定。「いわき工場は復旧だけでなく、品質やコスト削減にも努力した。一人ひとりの働きに心から感謝している」と現場の従業員にメッセージを送った。

トヨタ自動車は昨年末に発売した小型ハイブリッド車(HV)のアクアが好調。アクアを生産するトヨタの子会社、関東自動車工業の岩手工場(岩手県金ケ崎町)では3月に3万台を生産する見通し。発売前計画の5割増しで、フル操業が続いている。トヨタは5月にも小型車「ラクティス」の生産(月5000台程度)の大半を岩手工場から東富士工場(静岡県裾野市)に移し、アクアをさらに増産する方向で調整に入った。

関東自の服部哲夫社長は「アクアの生産が東北復興の一助になると信じて増産に取り組んでいる」と話す。円高修正と米自動車市場の復調が東北の自動車生産を後押ししている。

津波で大きな被害を受けた三陸地域の水産加工業でも、工場の新設や再稼働が相次ぐ。宮城県の水産加工大手、阿部長商店(気仙沼市)は13年秋の稼働を目指し年内にも新工場の建設に着手する。投資額は30億円超。100~150人体制でサンマやサバの冷凍品、フカヒレスープなどの加工品を生産する。拠点新設で震災前を上回る生産能力を整える。

同業のかわむら(気仙沼市)も12年中に水産加工場を新設する。理研ビタミンでは、製造子会社の理研食品本社工場(宮城県多賀城市)の生産ラインを再稼働する。加工工場が復旧すれば、水産物のサプライチェーン(供給網)が復旧し、地元経済の復興につながる。

紙や石油製品でも再稼働が相次いでいる。チラシなどに使う塗工紙では今月上旬までに、日本製紙石巻工場(宮城県石巻市)の大型設備2台が再稼働した。東北唯一の製油所のJX日鉱日石エネルギー仙台製油所(仙台市、日量14万5千バレル)が今月上旬、本格的に再稼働した。

しかし塗工紙の内需はほぼ前年並みとあって、日本製紙は「需給バランスを考えればフル生産は難しい」としている。トラック燃料の軽油やガソリンの需給緩和につながるだけに、業界では「(需給調整を進めないと)確実に値段の下落要因になる」(石油連盟の天坊昭彦会長)との懸念が広がる。

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