持ち運べるEV・バイオリン演奏ロボ…モノも未来も自ら創る
起業~Start up

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2013/3/1 18:08
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■企業の少子化脱する時 風起こし成長つかめ

「小さな独創的な企業が成果をおさめる可能性は、日本にもまだまだ十分にあると私は信じている」

ソニーの共同創業者、盛田昭夫氏は1987年の著書「MADE IN JAPAN」にそう書いた。あれから四半世紀。現実はどうだったか。

世紀の変わり目からの数年間、IT(情報技術)分野を中心に、日本も起業ブームに沸いた。時価総額を急増させたライブドアに触発され、若者たちが一獲千金を夢見て独立志向を高めた時期もあった。だが、そのライブドアが事件につまずき、新興企業への期待そのものがしぼんだ感すらある。結局、米グーグルやアマゾンのように世界の先頭でトレンドを生み出す存在は育たなかった。

実は盛田氏が著書を出したころから、日本では起業の件数が廃業数を下回る事態が続いている。1年間に生まれた企業の割合を示す「開業率」は直近でわずか2%で、米国を大きく下回る。一方の「廃業率」は6.2%だ。日本企業の数はこの四半世紀、減少の一途をたどっているのだ。「企業の少子化」が進むなか、突き抜けた存在が登場してこないのも無理はない。

インターネット技術の進歩とスマートフォンの普及がこうした状況を変えるかもしれない。いま再び日本で起業の機運が高まっている。会社設立登記の件数は2009年を底に増加に転じ、12年にはリーマン・ショック前の水準に迫った。斬新なアイデアと信念さえあれば、協力者や資金はネットで集められる。3Dプリンターなどの新技術は「工場」さえネット経由で使える時代をひらいた。

アナログからデジタル、クローズドからオープン。社会や経済のルールが変わり、新たな秩序が生まれる。起業家には刺激的な季節に違いない。

円安・株高を促すアベノミクスは産業界にとって追い風だ。しかし、自ら風を起こさなければ、世界を先導するのは難しい。それこそが起業の醍醐味のはず。既存の大企業も彼らと手を組み、発想や技術を吸収する努力がいる。起業=スタートアップを経済成長にビルトインし、前進するのだ。できなければ、日本に未来はない。

(編集委員 村山恵一)

[日経産業新聞2013年3月1日付]

日経産業新聞の創刊40周年企画の一つとして、1日付から新企画「起業~Start up」を始めました。第1部は、ものづくりに目覚めたベンチャーの動きを3回にわたって紹介します。
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