持ち運べるEV・バイオリン演奏ロボ…モノも未来も自ら創る
起業~Start up

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2013/3/1 18:08
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社会や経済の閉塞を破るイノベーションの担い手として欠かせない起業=スタートアップ。日本でも変革への挑戦が徐々に勢いを増してきた。いまどこにどんな起業家が生まれ、何を求め動くのか。第1部はハードウエア(ものづくり)で価値創造をめざす人たちを追う。

■スマホの次はネット+クルマ

「TypeX」は裏側に4つのタイヤがあり、モーターやバッテリーも内蔵

「TypeX」は裏側に4つのタイヤがあり、モーターやバッテリーも内蔵

一見、A4サイズのタブレット(多機能携帯端末)にしかみえない。だが裏返すと4つのタイヤがついている。厚さ3センチほどの本体にはモーターやバッテリーも内蔵する。コードネームは「TypeX(タイプエックス)」。持ち運べる電気自動車(EV)だ。

乗り方はシンプルで、床に置き両足で立つだけ。最高時速6キロメートルで走り、センサーが体重移動を感知して曲がる。「歩く時間を減らせば自由時間が増える」との発想で、空港やテーマパークなどでの利用を見込む。

EVの制御を学ぶ芝浦工大の大学院生、佐藤国亮(24)が、友人の別府泰典(24)からアイデアを打ち明けられたのは2011年夏だった。表面をディスプレーにして好きな映像を表示したり、アプリを使ったりできる「インターネットEV」をつくれないか。別府は当時、コンピューターの歴史を勉強していた。「スマートフォン(スマホ)の次はどうなるか」と考えるうち、次世代のクルマとコンピューターのイメージが交差した。

ココアモーターズは「A4サイズのインターネットEV」の実用化をめざす(佐藤氏=右=と別府氏)

ココアモーターズは「A4サイズのインターネットEV」の実用化をめざす(佐藤氏=右=と別府氏)

仲間を集め「cocoa motors.(ココアモーターズ)」と呼ぶ開発プロジェクトを始動。別府がネット大手に就職したのを受け、12年秋、佐藤がプロジェクトの代表者を引き継いだ。根幹となる技術の特許を個人名義で出願するところまできた。

次のステップはネット経由で不特定多数からお金を集めるクラウドファンディングサイト、米キックスターターでの資金調達だ。年内にサイトで公開する最新の試作機は、本体がアルミで重さ1800~2千グラムとノートパソコン並み。1回の充電で連続6キロメートル走る。まずは乗り物の用途に絞り、10万円以内での発売をめざす。

実は、佐藤は4月にソフトバンクモバイルに入社する。ココアへの熱が冷めたわけではない。むしろ逆だ。佐藤は言う。「早く実用化するには大手企業と手を組むのがベスト。ソフトバンクは技術も資金もある。パートナーとして孫正義社長にアプローチしたい」。そんな思いを承知のうえでソフトバンクは採用を決めたという。

■新たなエリートコース

優秀なエリートの若者ほど起業する――。米国では当たり前の価値観が日本にも浸透してきた。著名大学を出て大企業や役所に就職するだけでは、夢の実現に何年かかるかわからない。起業こそが新たなエリートコース。能力と野心を持つ起業家が、世界にない価値の創造に向け動き出す。

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