2019年2月22日(金)

いまIT起業家たちがはまるピアノレッスン
編集委員 村山恵一

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2012/6/28 7:00
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ベートーベン、ショパン、シューマン……。いま少なからぬ日本のIT(情報技術)起業家たちが、名曲のピアノ演奏に打ち込んでいる。多忙なスケジュールをやりくりし、プロのピアニストのもとでレッスンに励む。名門サントリーホールでコンサートまで開いた。なぜ彼らはピアノにはまっているのか。

武村氏(右)のレッスンを受ける岩井氏

武村氏(右)のレッスンを受ける岩井氏

「シのフラット。そう。最後までペダルを離さないで。そうそうそう」

見晴らしのいい都内のマンションの一室。シューマンの「トロイメライ」を課題曲に、ピアノのレッスンが進む。「ちょっと間違いもありますね」。ときどき厳しいひと言が飛ぶ。

指導役はピアニストの武村八重子氏。国立音楽大学ピアノ科を卒業し、2000年にはウィーン国立音楽大学でディプロマ(修士)を取得した実力派だ。アルバムも4枚出している。

レッスンを受けているのは、高速メール配信やスマートフォン関連事業などを手がけるレピカ(東京・港)や、AR(拡張現実)サービスのアララ(同)を設立した岩井陽介氏。モバイルコンテンツサービスで知られるサイバードの創業メンバーでもあるIT起業家だ。

ピアノを始めたのは11年秋ごろ。「最初は楽しさがよく分からなかったが、1曲弾けるようになると楽しいですよね」。1回のレッスンは1時間半。仕事の合間をぬって2週間に1回ほど通う。

「武村メソッド」という指導法は独特だ。指1本1本に神経が行き届くように「脳を鍛える」のが基本。両手を使うだけではなく、時にはドレミを口ずさみながら鍵盤をたどる。

「みなさん右手、左手をばらばらに動かすなんてできないと思うでしょうが、単なる思い込み。パソコンが打てるということはピアノも弾けるんです」と武村氏。指と鍵盤の位置を目で追い、出てくる音に耳を澄ます。視覚、聴覚も全部使って脳を刺激する。並行して「これを弾けるようになりたい」という曲の練習もする。

岩井氏が語る。「ピアノを始めて、物事を考えるときなど、集中力がついているような気がします。ピアノはロジカルで、プログラムみたいなもの。そのロジカルななかに感情が入る。深いですね。アイチューンズなどでダウンロードして聴くと、同じ曲でも弾く人によってスピード、抑揚が違う。自分も感情を込めて弾くようになります」

そもそも岩井氏が武村氏のレッスンを受けるようになったのは、親しいIT起業家たちが挑戦していると知ったからだ。「周りが弾いているのを聞いて、悔しいな、僕もやりたいなと思ったんです」

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