ものづくり進化論(日経産業新聞)

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

阪大・浜ホト・トヨタが挑む「夢の発電設備」 レーザー核融合

(2/3ページ)
2011/9/6 7:00
共有
保存
印刷
その他

 NIFのレーザーは「中心点火」という方式を採用し、一度の照射で点火に導くのが特徴だ。そのため高出力のレーザーを発生させる巨大な設備が必要で、NIFでは建屋面積がサッカーコート3つ分ほどと大きい。発電用に実現するには大きすぎるとの見方がある。

 こうした課題の解決策となりそうなのが、日本のレーザー核融合研究の総本山である大阪大学が中心になって研究する「高速点火」という技術だ。「中心点火」に比べて使用するエネルギーが小さいため、設備を10分の1程度に小型化できるという。

光産業創成大学院大学では、光技術の事業化を目指す人材育成を進めている(浜松市)
画像の拡大

光産業創成大学院大学では、光技術の事業化を目指す人材育成を進めている(浜松市)

 阪大レーザーエネルギー学研究センターの疇地宏センター長は「発電コストを1キロワット当たり10円以下に抑え、経済的な核融合炉の開発を目指したい」と意気込む。もちろん、高速点火を実現するには課題もあったが、浜松ホトニクスが中心となって、大阪大学などと協力、世界を驚かす成果をいくつも出してきた。

 浜松ホトニクスはレーザーなど光分野の技術では世界でも突出した存在だ。創業者の昼馬輝夫会長が企業理念とする「未知未踏を追求せよ」という掛け声のもと、レーザー核融合分野の研究も進めてきた。阪大の研究を支援するだけでなく、2005年には自ら私財を出し、浜松市内に光産業創成大学院大学を設立した。阪大のレーザー研から北川米喜教授らを招いた。そして、トヨタ自動車も研究に参加している。

浜松ホトニクスの産業開発研究所に設置されたレーザー核融合の実験施設(浜松市)
画像の拡大

浜松ホトニクスの産業開発研究所に設置されたレーザー核融合の実験施設(浜松市)

 これまで最大の課題の1つは、連続照射に耐えられるレーザーの光源だった。従来はフラッシュランプを使っていたが、照射するたびに熱を取る時間を要し、繰り返し照射するのに不向きだった。浜松ホトニクスが半導体レーザーを独自開発し、一気に連続照射への弾みがついた。レーザーを励起する「媒質」についても、神島化学工業がセラミック結晶を開発。従来のレーザーガラスに対して熱伝導度を数百倍に高め、冷却性能が大きく向上したという。

 浜松ホトニクスの菅博文取締役(開発本部大出力レーザー開発部長)は「レーザーを照射し、そこで(核融合エネルギーの源となる)中性子を連続して発生させることには成功している。世界でも例はなく、そのために必要なレーザー関連技術などを蓄積してきた」と胸を張る。米国のNIFでの実験が注目されているが、「それが成功すれば、実用化への動きが加速する。我々の(レーザーなどの)研究成果が生かされる可能性がある」とも指摘している。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

関連記事

日経産業新聞のお申し込みはこちら

【PR】

ものづくり進化論(日経産業新聞) 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

日本のバスは乗客が停留所から歩いて乗り込むのが一般的

バス停との隙間狭く ブリヂストンのバリアフリー技術 [有料会員限定]

 2020年に控える東京五輪・パラリンピックが、東京の足元の景色を少し変えるかもしれない。車体をバス停にピタリと寄せて乗り降りをしやすくするバリアフリーバスの実用化に向けて、ブリヂストンが道路、タイヤ…続き (10/16)

IHI機械システムの熱処理テクニカルセンターには熱処理関連装置が多数並ぶ(岐阜県各務原市)

外部の力と鋼材の熱処理技術強化 IHI機械システム [有料会員限定]

 IHI子会社のIHI機械システム(IMS)は鋼材の熱処理でオープンイノベーションを進めている。製造拠点の各務原事業所(岐阜県各務原市)に新設した熱処理テクニカルセンターを核に顧客企業や大学と連携して…続き (10/9)

UDトラックスはインドネシアで赤の車体をイメージカラーにしている

ボルボ資産活用、新興国向けトラック UDトラックス [有料会員限定]

 UDトラックスは新興国向け小型トラック「クーザー」をインドネシアで来年初頭にも発売する。従来は日本向けと同じ車両を海外に輸出することが多かったが、現地の需要に合わせ、一から開発。コストの安いインドで…続き (10/2)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

10月22日(日)

  • 「プライヴァシーの死」とGDPR:メディア美学者・武邑光裕による新連載「GDPR:データとインターネット〜EUが描く未来」
  • Face IDは今後の生体認証スタンダードになるか?
  • プログラミングを色鉛筆のような“表現ツール”に―DeNA、小学校に学習アプリを無償提供

日経産業新聞 ピックアップ2017年10月20日付

2017年10月20日付

・米ツナミ、VRで部品組み立て研修
・サイバーブル、電子看板にネット動画広告配信
・モフィリア、指先1つで静脈認証
・何でもつかむぞ万能ロボハンド 東北大、柔軟に変形
・フジクラ、伸縮・曲げ自在な電子回路…続き

[PR]

関連媒体サイト