マツダ、ロシア大手と合弁協議 極東で生産検討
マツダは26日、ロシア極東での生産開始に向け、現地自動車大手ソレルスと合弁工場を設立するための協議に入ったと発表した。ウラジオストク市内に拠点を設ける方向で、2012年中にも生産を始める予定だ。同市ではトヨタ自動車やいすゞ自動車も生産体制を構築中。ロシア政府はシベリア鉄道の輸送料金に優遇措置を導入するなど極東への外資誘致を推進している。こうした産業振興策を受け日本メーカーは西部が中心だった立地戦略を見直し、急成長する新車市場を取り込む。

マツダは6月にロシア経済発展省と極東・沿海州で生産することで合意し、具体的な生産体制について検討を進めていた。ソレルスとの合弁工場の生産能力は最大で年5万台規模になる見通し。日本などから主要部品を輸出して現地で組み立てるノックダウン方式を採用する。マツダは現在、ロシアへは日本などから車両を輸出しているが、現地生産に切り替えて関税負担を軽減する。
ウラジオストクではトヨタがソレルスと三井物産が設立した合弁工場で12年春から多目的スポーツ車(SUV)の生産開始を決めている。またいすゞはロシア南部のタタールスタンでソレルスと運営する合弁工場について、11年度内にウラジオストクに移転する計画だ。ホンダも現在、ロシア生産に向けた検討を進めており、極東・沿海州が有力候補となっている。
日本の自動車メーカーのロシア生産はこれまで消費地に近いサンクトペテルブルクなどロシア西部での生産が中心だった。各社が極東での生産を拡大する背景には、日本からの距離が近く部品を供給しやすいメリットがあることに加え、ロシア政府側の意向もある。
ロシア政府は外資系メーカーに対し部品の輸入関税を優遇する条件として生産能力を年30万~35万台規模にまで拡大することを要求していた。一方で産業振興を急ぐ極東に関しては例外的に年数万台規模でも認可している。シベリア鉄道を使った完成車輸送インフラを整備するなど、日本メーカーに照準を合わせた誘致策を推進している。
日本メーカーがこれに応じる形だが、極東でエンジンなど基幹部品からの一貫生産に発展するかは未知数だ。
ロシアの新車販売台数は金融危機の影響で09年は大きく落ち込んだが、欧州ビジネス協会(AEB)によると10年は09年比30%増の191万台に拡大した。資源輸出増による経済回復を追い風に11年1~6月は前年同期比56%増えた。