勢いづく香港のEV市場 適度な面積と富裕層集中が追い風
編集委員 関口和一

(1/2ページ)
2012/1/26 7:00
保存
共有
印刷
その他

電気自動車(EV)の市場が香港でも立ち上がり始めた。米国のEVベンチャー企業、テスラ・モーターズも香港に販売拠点を拡充しつつある。東京都の半分くらいの大きさで、富裕層が多い香港は、EVの世界販売に向けた格好のテストマーケットでもある。日本より一足先に勢いづく香港のEV市場を追った。

香港のメリディアン・サイバーポート・ホテルが開設したEV用給電設備と同ホテルのガーハード・アイチャー支配人

香港のメリディアン・サイバーポート・ホテルが開設したEV用給電設備と同ホテルのガーハード・アイチャー支配人

「これが当ホテルに新しく設けたEVの充電装置です」。香港島の南に位置する「メリディアン・サイバーポート・ホテル」。1月16日、現地でお披露目の記者会見を開いた同ホテル支配人のガーハード・アイチャー氏は、自慢そうにテスラ社の充電装置を記者団に紹介した。

会見はテスラ社との共同開催で、同社アジア太平洋地域ディレクターのケビン・ユー氏も出席。「当社の世界戦略において、香港は極めて重要な市場だ」と説明した。充電装置はテスラ社が提供、電気代と運用はホテル側が負担する。顧客はホテルで食事などをすれば、無料で充電装置を使えるという仕組みだ。

テスラ社のEV「ロードスター」(右がケビン・ユー氏)

テスラ社のEV「ロードスター」(右がケビン・ユー氏)

この地域の名前でもある「サイバーポート」は、香港政府が香港内にシリコンバレーを作ろうと新たに造成した地域。ハイテク企業は思うように集まらなかったが、富裕層が集まる高級住宅地として人気が高い。ホテルはその中央にあるため、「テスラの充電装置を置けば、EVに乗る富裕層をひきつけられる」とアイチャー氏は設置の動機を語る。

テスラ社が香港で販売しているのは日本と同じスポーツタイプの「ロードスター」。1台1500万円前後する車で、日本と同じ2010年春から販売を始めた。テスラ社では同じ右ハンドル仕様の日本、香港、英国、オーストラリアを海外の戦略市場と位置づけており、ユー氏も普段は日本に滞在する。ところが香港は人口がわずか約700万人しかいないにもかかわらず、「販売台数では日本にひけをとらない」と言う。

香港でEVが売れる理由はいくつかある。2人乗りのロードスターはファミリーカーにはならず、当然、何台も車を保有する富裕層が対象となる。その意味では、日本よりも富裕層が集中する香港のほうが潜在ニーズは高いというわけだ。

立地的なメリットもある。面積が約1100平方キロメートルと東京都の半分くらいのため、ぐるっと一周しても約200キロメートルほどにしかならない。ロードスターは1回の充電で約400キロメートル走れるため、EVでも安心して実用目的に乗れるからだ。

  • 1
  • 2
  • 次へ

電子版の記事が今なら2カ月無料

保存
共有
印刷
その他

関連記事

日経産業新聞のお申し込みはこちら

電子版トップ



[PR]