2019年9月17日(火)

木目調で患者に優しく 医療機器で始まるもう一つの進化

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2013/2/26 7:00
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形は武骨で色は白一色――。そんな医療機器のイメージが変わりつつある。人間工学に基づいた形状や木目調デザイン、さらには黒色の医療機器も登場している。根底にあるのはいかに患者に優しく、心理的不安を和らげることができるかという発想。高齢化が進む中、検査や治療への嫌悪感を取り除く重要性が高まっており、本来の性能に加え、デザインも含めた機器全体での開発を考える流れが広がっている。

両手で包み込むようなデザインにしたGEヘルスケアのMRI

両手で包み込むようなデザインにしたGEヘルスケアのMRI

「音がうるさく、空間は狭い。できれば受けたくない」。体内に生じた病変を発見する磁気共鳴画像装置(MRI)検査を受けたある患者は話す。磁場と電波を使って体内の様子を見るMRIは頭部や脊髄、消化器など多くの検査に対応し、高精細な画像を得られる。半面、磁場を変化させる際に大きな音がし、人が入るドーナツ状の空間は狭く圧迫感を与える。

こうした難点を何とか和らげられないか。そんな観点から米系医療機器大手GEヘルスケアが昨年、導入したのが「ケアリングデザイン」という概念だ。同社が2月に発売した「オプティマMR360アドバンス1.5T」は両手で包み込むような形状にし、側面には明るい色の木目調のパネルを採用。さらに発光ダイオード(LED)照明で曲線を描き、柔らかで温かい印象を与える。

病院で検査を受ける患者は緊張するのが普通だ。「機械の冷たい印象を与えないデザインにし、緊張を和らげるようにした」と同社日本法人MRセールス&マーケティング部1.5Tプロダクトマーケティングの清水俊博氏は話す。開口部も外側から徐々に狭まる形状にし、圧迫感を感じにくくした。患者が横たわる検査台は高さを低くし、高齢者が乗り降りしやすいようにするなど随所に配慮の工夫をこらした。

ケアリングデザインを採用したMRIは現在3機種。定価で10億円前後するにもかかわらず、1年で計画を上回る計60台が売れるなど好評だ。木目調パネルのデザインに合わせ、検査室の壁や床を木目にする医療機関もあるという。GEヘルスケアは低価格帯の機種にも導入を拡大し、将来はすべてのMRIに採用する予定。清水氏は「技術が素晴らしくても、患者への優しさを追求しなければならない」と話す。

携帯電話のようなデザインにしたロシュ・ダイアグノスティックスの血糖測定器

携帯電話のようなデザインにしたロシュ・ダイアグノスティックスの血糖測定器

メーカーが医療機器のデザインに力を入れるのは、機器の性能が良くても、検査や治療自体を敬遠されたり面倒くさがられたりしては病気の発見や症状改善につながらないからだ。高齢化で身体能力が衰えた高齢者の患者が増えることや、激しい各社の開発競争で医療機器の本来の性能が似かより、デザインで差異化する必要が出てきたことなども一因とみられる。医療機関も機器のデザインが患者に与える影響を重視し始めているようだ。

地道な検査や治療が必要な代表的な病気は糖尿病だ。インスリンの自己注射や食事療法を必要とする患者は、血糖測定器と呼ばれる機器で指から微量な血液を採取して血糖の値を測定。適正値になるようコントロールする必要がある。1日数回の血糖測定は面倒だが、それをどう継続しやすくするか。検査機器・診断薬大手のロシュ・ダイアグノスティックス(東京・港)が提案するのは黒い測定器だ。

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デザインで付加価値向上

医療機器、新市場開く

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