2019年9月21日(土)

アンプ・ミニコンポ…新生ヤマハ「伝統と革新の融合」

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2012/5/29 7:00
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ヤマハが音楽市場で従来の常識にとらわれない製品を投入している。昨年秋に10年ぶりに発売したギターアンプもレトロで柔らかいデザインで中高年愛好者の潜在需要をうまくつかみ、売れ行きは好調だ。ヤマハにどんな変化が起きているのか。開発ストーリーに耳を傾けると、成熟した「音・音楽市場」で生きていくことを決めた「新生ヤマハ」の息吹が聞こえてくる。

「THR」は持ち運びが便利でどこでも演奏できる

「THR」は持ち運びが便利でどこでも演奏できる

昨年11月20日、箱形のいかついイメージがあるギターアンプの世界に一風変わった製品が登場した。ヤマハが2年かけて企画開発した「THR」。持ち運びしやすく、デザインもレトロで柔らかい。

発売と同時にTHRに飛びついたのは40~50歳代の中年ギタリストだ。「家の中でいつでも気兼ねなくギターを楽しみたい」という潜在需要を取り込んだ。初年度1万台の販売目標は半年を待たずにクリア。「タイの洪水で部品調達が滞ったが、ようやく増産体制が整ってきた」(武永伸一・管弦打楽器事業部副事業部長)。2月以降、主戦場の欧米での販売も開始し、初年度の販売は少なくとも2万台を超える勢いだ。

同社がエレキギター市場に参入したのは46年前。アンプも同時に参入したが、米老舗メーカーの牙城は崩せなかった。とうとう約10年前には新たな製品開発を事実上停止。地道にデジタルアンプの要素技術を磨き続け、ようやく2009年に新しい概念の製品開発に着手した。コンセプトはライブ会場用、練習用に続く第3のアンプ。「自宅の居間」を再現した開発施設で開発者たちは、家で気兼ねなく使えるアンプの姿を一から模索した。

居間に似合う外観で米アップルの「iPhone」などと接続できる機能を備えた。ギター演奏だけでなくオーディオとして音楽を楽しめる。「奥さんや子どもにも受け入れられる」仕掛け作りだ。

伝統的な真空管タイプのアンプは内部からほのかなオレンジ色の明かりが漏れる。この独特な雰囲気も照明を内部に仕込んで再現した。こうしたこだわりがギターをこよなく愛する中高年の男性の心を射止めた。ヤマハの社内でも定年を迎えた社員が送別の贈り物として「THR」をリクエストするケースが増えたという。

楽器の世界は伝統を重んじる。ヤマハのその伝統を守ることで市場で愛されてきた。「しかし時代とともに演奏するシーンは変わる」(同)。伝統を重んじながら変化に挑むことで、半世紀の歴史のあるアンプ市場に新しい需要を生み出した。

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