日本の復興を願うアジアの国々

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2011/3/28付
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東日本大震災から5日たった3月16日、タイの首都バンコクで同国工業省が日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と覚書(MOU)を交わした。バンコクに近いタイ東部チョンブリ県で、鉄スクラップなどを効率的に溶解する環境対応型のアーク炉技術の実証実験を共同実施する内容だ。

環境対応型の高効率アーク炉の実証実験の開始で覚書を交わしたNEDOの植田理事(左から2人目)とタイ工業省幹部ら(NEDO提供)

環境対応型の高効率アーク炉の実証実験の開始で覚書を交わしたNEDOの植田理事(左から2人目)とタイ工業省幹部ら(NEDO提供)

NEDOの植田文雄理事が出席したMOU調印式では、冒頭に震災被害者に向け列席者らが1分間の黙とうをささげ、代表してタイのナタポン副次官がお悔やみの言葉を述べた。

タイと日本は経済的なつながりが深い。それだけに震災後のタイ政府の対応は早かった。地震直後に2億バーツ(約5億4000万円)の支援を閣議決定したほか、物資不足に対応して1万5000トンのタイ米の供出を決めた。タイが発生源となった1997年のアジア通貨危機や、2004年のインド洋大津波でプーケットなどタイ南部が被害を受けた際、日本は真っ先に支援を表明した。そんな「いつも手を差し伸べてくれた日本を全面支援する」(タイのアピシット首相)との思いが、タイ側には強くある。

ただ、MOU調印式後の記者会見では、タイ側のメディアからこんな質問も出た。

「大きな被害を受けた日本に今後、タイなどの技術支援を続ける余裕はあるのか」

押し寄せる大津波が街を破壊していくニュース映像はタイでも連日流れた。「復興に莫大な資金が必要だと考えたタイ側関係者が、今後の技術供与の継続に不安を覚えて当然かもしれない」とNEDO関係者は言う。会見では植田理事が「今進めている案件は、すべて継続できる」と言い切り、タイ工業省幹部が安堵する場面も見られたという。

実証実験に使う高効率アーク炉は、JFEエンジニアリングや日立造船などが出資する製鉄機械メーカー、スチールプランテック(横浜市)がNEDOの助成を受けて開発した。鉄スクラップを炉に入れる前に予熱で温める方式で熱効率をアップ。さらに炉内で発生するダイオキシンを、セ氏800度以上で燃焼した後に急速冷却して集めやすくする環境対応技術を盛り込んだ。電力消費量は従来より30%減るという。

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