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イオン「値上げ応じず」 酒類の不当廉売問題

三菱食品など食品卸大手3社がイオンに原価より安い価格でビール類を卸売りしていたとされる問題で、イオンの横尾博専務執行役は23日都内で記者会見し、卸3社から値上げの要請があっても「応じる意向はない」と表明した。公正取引委員会からの取引条件変更を求める要請についても「消費者の納得が得られない」と受け入れない考えだ。

今回の動きは、イオン周辺の一部の小売店からイオンのビール類の価格が安過ぎるなどの申告があったことが発端と見られる。そこで公取委は、メーカーから販売奨励金を削減された卸売業者が値上げを要請したのにもかかわらず、イオンが応じていないことについて、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いがあるとして、2011年11月ごろに調査を開始。ただイオンについては違反の事実は認められないと判断し20日、同社に通知した。

ただ調査の過程で三菱食品と伊藤忠食品、日本酒類販売の卸売り3社が原価割れの価格でイオンに納入していた可能性が浮上。公取委は3社に対し独禁法違反(不当廉売)で警告する方針に切り替え、20日に事前通知した。市場価格の適正化を狙った結果、「不当安値の原因が卸にある」との裁定に変わった格好だ。

ただ仕入れたイオン側にも原因があるとして、公取委は「適正な価格での取引に応じるよう後日文書で通知する」と同社に伝えている。これに対してイオンの横尾専務は「ビールの仕入れ価格は十分に協議した上で合意したもの」とし、「卸3社に原価を下回る価格での納品は要請しておらず、原価割れ状態だったかどうかも知り得なかった」と述べた。

また「今よりもっと安く商品を提供することが我々の使命」とも話し「場合によっては取引先を絞ることもあるかもしれない」と踏み込んだ。

この問題の発端は05年にさかのぼる。キリンビールなど大手4社が過剰な安売りの是正を目的に販売数量に応じて支払うリベートを廃止。卸や小売業界の抵抗感は強かったが、結局は大半が受け入れ店頭価格は上昇した。ただイオンはこれに反発し、価格転嫁できない卸3社はビール類取引での原価割れが続いていたという。

現在の大手小売りと卸の力関係を見ると、卸が小売りに従わざるを得ないのは常識だ。食品卸業界からは困惑の声も上がる。公取委の聴取を受けた食品卸のある幹部は「卸はメーカーと小売りの板挟みになり、不本意ながら利益を出せなかった」といい、「卸だけ警告を受けるのは納得しづらい」と打ち明ける。

ある別の食品卸大手の幹部は「ビールは消費低迷でメーカー、卸、小売りの3者とも利益が出ない構造が続いている」と明かす。メーカーが実質的な値上げをした場合、卸は小売り側にもコスト負担を求めるが、「ビール以外の商品の取引で利益が出れば、ビールには転嫁しない事例もあった」(同)とし、取引全体が以前からいびつだったとの指摘もある。

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