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ソニー、TV黒字化遅れる 流出問題追い打ちも

11年3月期、最終赤字2600億円

ソニーの2011年3月期の連結最終損益が黒字予想から一転、2600億円の赤字に転落した。東日本大震災の発生を受け、薄型テレビ事業黒字化の見通しが遠のいた。テレビなどのハード事業を補う役回りを期待するネットワーク事業も、個人情報の大量流出問題を抱える。既存事業の採算悪化と新規事業の力不足。長年の経営課題が震災で噴き出した。

震災でエレキ部門のマイナス要因が大きくなったという(23日、記者会見する加藤CFO、東京都千代田区)

赤字の原因は将来の収益見通しが狂い、前期に約3600億円の「繰り延べ税金資産」を取り崩したことにある。

「(テレビなど)エレキはかなりの収益改善が見込めると思っていたが、震災で11年度はマイナス要因が大きくなった」。加藤優最高財務責任者(CFO)は23日の会見で説明した。

ソニーは10年3月期までエレキ事業で薄型テレビ、家庭用ゲーム機、携帯電話機という「三つ子の赤字」を抱えていた。このうちゲームと携帯電話は黒字転換したが、売上高が1兆円規模と大きいテレビは赤字が続いたもよう。

テレビ事業は前期まで7年連続で営業赤字となり、累積赤字は前期までで4000億円を超えた。足元でも販売が弱含んでいる。

ここに震災が追い打ちをかける。12年3月期の震災の影響は売上高で4400億円減、営業利益で1500億円減の見込み。事業別の内訳は明らかにしていないが、テレビ事業でも部品調達の支障による生産の遅れなどが懸念され「コスト削減が従来の計画通りにいかないものもある」(加藤CFO)。

記者会見するソニーの加藤優CFO(23日夕、東京都千代田区)

記者会見するソニーの加藤優CFO(23日夕、東京都千代田区)

国内部門は震災の影響で12年3月期も収益回復が見込めなくなった。薄型テレビでは海外からの液晶パネル調達を増やすなど、すでに大胆なコスト削減に取り組んでいる。今後は研究開発の海外シフトなどを進め、さらなるコスト削減を進める考えだ。

業績回復にはコスト削減だけでなく、新たな収益のけん引役も必要だ。ソニーはその役割をネットワーク配信事業に託していたが、ハッカー侵入による大規模な個人情報流出問題を受け、一部を除いて4月下旬からサービス停止が続く。

12年3月期に計上する費用は現時点で約140億円。ただこれは調査関連など一部のコストのみ。実際に個人情報の不正利用が発覚した場合の費用は含んでおらず、さらに影響が拡大する可能性は否定できない。

ネット事業の停止によるイメージ低下や顧客離れが進めば、ソフトとハードを両輪とする基本戦略が揺らぐ。同時にきしみ始めた両輪を立て直すのは容易ではない。

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