人間にクイズで勝ったコンピューター「ワトソン」の素顔
コンピューターの役割考える契機に

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2011/3/24 7:00
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先月、米人気クイズ番組で歴代チャンピオン2人に圧勝した米IBMの高性能コンピューター「ワトソン」。最先端の自然言語解析技術を駆使して出題者の問いの意味を理解し、瞬時に解答を導き出す驚異的な能力に、複雑な思いを抱いた人は少なくない。コンピューターはどこまで人間に近づいたのか。その素顔を探るため、ニューヨーク近郊のIBM研究所を訪ねた。

冷蔵庫10台分のスペースに2880個のプロセッサーと15テラバイトのメモリーを詰め込んだ「ワトソン」(ニューヨーク近郊のIBM研究所にて)

冷蔵庫10台分のスペースに2880個のプロセッサーと15テラバイトのメモリーを詰め込んだ「ワトソン」(ニューヨーク近郊のIBM研究所にて)

マンハッタンから北に車で約1時間。小高い丘の上に立つ石造りの研究所の、空調の利いた部屋の中にワトソンはいた。

冷蔵庫10台分の大きさのラックにぎっしり詰め込まれた高性能サーバーに搭載されているプロセッサーの数は合計2880個。15テラ(テラは1兆)バイトのRAM(随時書き込み読み出しメモリー)を備え、毎秒80兆回の浮動小数点演算を実行する処理能力を持つ。IBMで人工知能などを研究するメンバー25人が4年かけて開発した。

難解な質問と独特の解答方法で知られる人気クイズ番組「ジョパディ!」に出場するために、ワトソンが読み込んだ本や映画の脚本、百科事典などは合計100万冊。公平を期すため、インターネットには接続しておらず、"頭の中"の蓄積だけが頼りだ。

部屋に入ってすぐに目を引くのが、空調のための仕切りガラスに宙に浮かぶように投影された「アバター(化身)」。クイズ番組でも、2人の歴代チャンピオンに挟まれた解答者席には、ワトソンと接続したモニターが置かれ、地球をイメージしたと思われるアバターが表示されていた。

クイズの答えを導き出すとグリーンに光り、わからなかったり、自信がなかったりするとオレンジに光るワトソンの「アバター」(中央の地球のようなイラスト)

クイズの答えを導き出すとグリーンに光り、わからなかったり、自信がなかったりするとオレンジに光るワトソンの「アバター」(中央の地球のようなイラスト)

様々な色に光るアバターはきれいなだけでなく、ワトソンの「状態」を知らせてくれる。ワトソンは人間と同じタイミングで、文字で入力された質問からキーワードを抽出し、データベースの中から答えを見つける。この間、わずか3秒だ。

自分が探し出した解答に一定レベル以上の確信を持つと、人間と同様に解答ボタンを押す。確信があるときはアバターは緑色に光るが、自信がないときはオレンジ色や黄色の光を放つ。「自分の解答に対する確信の度合いを計算し、それに応じて色を変えるようにプログラムしている」と開発者の1人は話す。だが、機械だとわかっていても、人間の顔色のように変化するアバターをじっと見ていると、感情があるのかと錯覚してしまうから不思議だ。

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