衛星活用、気候変動に備え 民間巻き込み情報解析
三井物産戦略研究所シニア研究フェロー 本郷 尚

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2013/5/27 7:00
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ハワイのマウナロア山の中腹、標高3400メートルにある観測所の二酸化炭素(CO2)濃度が月平均で観測史上初めて400PPMを超えた、と米海洋大気局が発表した。観測を始めた1958年頃、濃度上昇は毎年1PPM以下だったが、最近では2PPM前後と加速している。

他方、自然災害の状況をみると、2012年は米ニューヨーク市などを襲ったハリケーンが500億ドル以上、米国中西部の干ばつが200億ドルもの被害を与え、上海市などを通過した台風では180万人が避難を余儀なくされた。

ドイツのミュンヘン再保険が毎年発表する世界の災害報告では、水循環に関連する自然災害は80年代前半の2倍以上に増えている。この観測結果をもって大規模な気候変動が起きていると断言できるものではないが、気候変動が現実になったときの被害を考えれば、備えは欠かせない。

今年3月、韓国・仁川市にアジア太平洋諸国で気象災害を担当する政府関係者や専門家が集まった。インドネシアでは都市化の進展で開発に向かない海岸や川沿いの低地も住宅地や商業地となり、高潮や洪水の災害リスクが高まっていることが報告された。11年に大洪水に襲われたタイでは工場を守るために高さ6メートル以上、70キロメートルもの堤防など各地で対策工事が進められていることも紹介された。

農業も気候変動には敏感だ。コメ輸出国のタイでも乾期の水不足から二期作目の収穫量に影響が出ているといわれ、乾燥化が懸念されるインドでは耕地の2割ほどしか灌漑(かんがい)設備はないという。インフラ整備が必要なのは明らかだが、全てのリスクを土木建築で守るのは不可能だ。

農業天候保険や建物の損害保険など経済損失対策が今まで以上に注目されている。自然災害の規模、頻度を想定し、土木によるハードインフラと情報発信や避難誘導、災害保険などソフトインフラを組み合わせるのが現実的な対応だろう。

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