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企業価値10億ドル続々 注目の米ネット企業13社の有望株とは

ベンチャーキャピタル(VC)投資が堅調な米国では、株式が非上場ながらも評価額が10億ドル(約800億円)を超える新興企業が相次いで登場している。米ダウ・ジョーンズ・ベンチャーソース調べによると、出資額などからはじいた評価額が10億ドル、もしくはそれ以上の非上場企業は8月20日時点で20社ある。うち、13社をインターネット関連の企業が占める。VC投資家の評価が高いネット企業を紹介する。

エアビーアンドビーの3人の共同創業者。中央がブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)

「宿泊費が安ければ、もっと気軽に旅行に行けるのに」。「空き部屋を貸して、小銭を稼ぎたい」。こうしたよくある2つの願望をネットを通じて簡単に実現できるようにしたのが、エアビーアンドビー(サンフランシスコ市)だ。

ニューヨークやロンドンなどの大都市では、ホテル代が一泊300ドルに上ることもあり、気軽には訪問できない。だが、エアビーアンドビーを使えば、空き部屋を一泊100ドル以下で貸してくれる人が簡単に見つかる。部屋の写真や過去の宿泊者のレビューも充実していて、予約を入れる前に参考にできる。味気ないホテル滞在と違い、実際にその街で住む人と交流してルームメイト気分を味わえるのも、エアビーアンドビーの魅力となっている。

収入源は、部屋の貸し手と宿泊者から徴収する手数料だ。貸し手への手数料は宿泊費の3%、宿泊者への手数料は6~12%。空き部屋を同社のサイトに掲載するのは無料で、宿泊契約が成立した際にのみ手数料が発生する。

企業評価額が10億ドルを超える注目の非上場企業
企業名事業内容
エアビーアンドビー(Airbnb)空き部屋を簡単に旅行者や短期滞在者に貸し出せるネットサービス
ボックス(Box)クラウドを通じたファイル保存や共用サービス、企業向けに強み
コールド・ブリュー・ラブス(Cold Brew Labs)写真共有サービス「ピンタレスト」を運営
コンデュイット(Conduit)パソコンや携帯を通じて利用者が繰り返しサイトを訪れるようにするノウハウを企業向けに提供。イスラエル企業
クーポンズ・ドット・コム(Coupons.com)クーポン(割引券)収集サイト
ドロップボックス(Dropbox)クラウドを通じたデータ保存サービス、個人向けに強み
エバーノート(Evernote)クラウド型の個人向け情報整理サービス
ギルト・グループ(Gilt Groupe)高級品の割引販売を専門としたネット通販
リビングソーシャル(Living Social)クーポン共同購入サイト
リアデン・コマース(Rearden Commerce)中小企業向けにコスト管理や商品購入を効率的に行うソフトなどを、ネットを通じて提供
スクエア(Square)スマホを使った電子決済サービス
ツイッター(Twitter)ミニブログ最大手
ワークデー(Workday)中小企業を中心にネットを通じて企業管理向けソフトを提供

創業は2008年。すでに、同サイトを通じて1000万件以上の宿泊契約が成立している。米国外からの需要も高く、すでにロンドン、パリやモスクワなど欧州5都市にオフィスを構えているが、今年4月には南米事業拡大を目指しブラジル・サンパウロ市に拠点を構えた。同市では、14年にはサッカー・ワールドカップ、16年には五輪が開催予定で、利用者が急増することは間違いない。

こうした「安定した収入源」「今後の成長性」に対する投資家からの評価は高い。同社に投資するVCとしては、ロシア系のDSTグローバルやアンドリーセン・ホロウィッツなど、世界最大の交流サイト(SNS)「フェイスブック」への早期投資で有名になった顔ぶれが並ぶ。個人投資家としては、ビジネス向けSNS「リンクトイン」のリード・ホフマン共同創業者や米俳優アシュトン・クッチャーなどが同社を支援している。

米スクエアは、スマホにカード読み取り機を取り付けるだけで、クレジットカードの決済端末として使えるようになる仕組みを提供している

 日本から大幅に遅れて今年「おサイフケータイ元年」を迎えている米国で、急速に力を伸ばしているのがスクエア(サンフランシスコ市)だ。特徴は、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」など、手持ちのスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)をそのまま決済端末として使えること。スマホに無料の小型カード読み取り機を取り付けて、専用アプリを取り込むだけで、その場でカード決済が可能な端末として機能するようになる。大手カード企業などが運営するおサイフケータイの仕組みと異なり、高額な専用機器を導入する必要がないため、中小の店舗主、個人商店や野外の売店などで利用が増えている。

収入源は決済時に徴収する手数料で、決済額の2.75%がスクエアの収入となる。また、年間決済額が25万ドル以下の利用者を対象に、月額275ドルを払えば決済回数にかかわらず手数料が無料になるプランを発表。さらなる中小規模の企業や商店の取り込みを狙っている。

スクエアは、ツイッターの共同創業者ジャック・ドーシーが09年に創業し、現在まで最高経営責任者(CEO)を務める。中小企業を中心に活用を伸ばしてきた同社だが、その存在感に大手も関心を持ち始めている。

今月上旬、米コーヒーチェーン最大手スターバックスが、今秋をメドにスクエアの決済サービスを約7000店舗で導入すると発表。同時に両社は、スタバによる2500万ドルの出資とハワード・シュルツ会長のスクエア取締役就任で合意している。ツイッターとスタバの経営経験者2人が、今後、スクエアの成長をどのように導いていくかに注目だ。

クラウド上のサーバーにデータを預けるサービスを手掛けるボックス(カリフォルニア州ロスアルトス市)とドロップボックス(サンフランシスコ市)に対する投資家の視線も熱い。クラウドという概念が浸透するなか、今後も利用が拡大するのは間違いないからだ。

ボックスは企業向け、ドロップボックスは個人向けに強みを持つ。ボックスはファイルの共用など、社内で複数の人が一緒に利用するのに便利な仕組み作りに力を入れている一方で、ドロップボックスはスマホで撮った写真の保存など個人向けの機能を充実させている。ともに、保存容量が一定量を超えた顧客から利用料を徴収する料金体系をとっており、現時点ではまだ有料会員は少数派だ。

だが、有料会員化する可能性の高い企業顧客を多く抱えるボックスに対するVC評価は高い。7月、米有力VCゼネラル・アトランティックなどから合計1億2500万ドルの出資を受けたが、その時の評価額は12億~15億ドル。10億ドルの大台を上回り、大型の非上場企業として注目を集めた。

同社によると、現在、企業向けサービスの売り上げは前年比で倍増ペースで伸びている。6月にはロンドンに初の海外拠点を開設し、欧州や中東の企業顧客の獲得に乗り出している。

   ◇         ◇   

企業価値10億ドルリストにはほかにも、写真共有サイト「ピンタレスト」を運営するコールド・ブリュー・ラブスや、NTTドコモの出資で注目を集めたクラウド型の情報整理サービス「エバーノート」などが名を連ねる。5月に上場したフェイスブックの株価が低迷するなど、新興企業の新規株式公開(IPO)には厳しい地合いが続く。だが、その陰では将来有望な非上場企業が続々と育っている。

(米州総局 清水石珠実)

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