スパコン「京」、津波の動きを3次元シミュレーション
富士通と東北大

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2012/2/21付
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 理化学研究所と富士通が共同開発中の世界最速スーパーコンピューター「京(けい)」を使った研究プロジェクトが始動する。富士通と東北大学は21日、「京」を使って津波の動きを3次元で再現する世界初のシステムを共同開発すると発表した。医薬分野では中外製薬などが新薬開発に利用する。「世界最速」をビジネスや先端研究に生かす挑戦が始まる。

毎秒1京回の計算能力を達成したスーパーコンピューター「京」(昨年11月、神戸市中央区)
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毎秒1京回の計算能力を達成したスーパーコンピューター「京」(昨年11月、神戸市中央区)

 山本正已・富士通社長と東北大の今村文彦教授が21日、仙台市で会見。今村教授が開発した津波2次元シミュレーション技術と富士通の3次元流体解析技術を組み合わせ、3次元で津波の動きをシミュレーションするシステムを2012年度中に開発する。

 津波が陸地を遡上するまでの精密なシミュレーションには膨大な計算能力が必要で、従来のスパコンでは困難だった。

 「京」を使えば、堤防やビルにどのような力が加わり、破壊されるのかわかるので、津波に対する耐性の強い建造物の設計が可能になる。津波が市街地をおそった場合を予測して、避難経路や避難場所の設定など効果的なハザードマップ作製にもつながる。

スパコン「京」の重点利用分野
■医療・創薬
細胞やたんぱく質の構造を分析し、新薬の開発や予防医療に役立てる
■新エネルギー
メタンハイドレートなど新エネルギーや新物質の基礎研究を加速
■防災・減災
地震や津波発生時に高精度な解析や警報発令を目指す
■次世代ものづくり
製造プロセスの効率化や製品の小型・静音化などに活用
■宇宙の起源
素粒子などを解析。ビッグバンに始まる宇宙の起源・構造を理解する

 政府は(1)医療・創薬(2)新物質・エネルギー(3)防災・減災(4)ものづくり(5)宇宙の5分野で「京」を使った研究開発を重点的に進める方針を打ち出している。今回の津波シミュレーション技術開発は防災・減災分野の主力事業になる。

■創薬分野も進む

 創薬分野では中外製薬や富士フイルムなどが東大などと組んで9月から抗がん剤の開発に着手する。「京」を使うことで薬品候補となる化学物質を早く見つけ、製品化の時間を短縮する。

 ものづくり分野では新しい解析技術や設計技術の開発などを通じ、製造業の開発力底上げを狙う。自動車の長距離走行実験をスパコン上で実施することで、ドライバーを使った実際の走行実験に比べて時間と費用を大幅に削減できる。「京」が本格稼働する11月以降、各分野で研究開発が加速する。

 世界最速の「京」は現在主流のスパコンの数百倍の計算能力がある。これを使えば、現在、実物や模型を使っている様々な実証実験をコンピューター上でシミュレーションできるようになり、研究・開発の時間や費用を大幅に短縮できる。

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