ソニー、ゲーム機復活へ正念場 PS4を年末投入
ソニーが苦戦するゲーム事業の巻き返しを図る。21日発表した据え置き型家庭用ゲーム機の新製品「プレイステーション(PS)4」はクラウド技術を活用、インターネットを通じて友人と交流できる機能を充実させた。家庭用ゲーム機では任天堂が新機種を発売したほか、米マイクロソフトも次世代機を開発中とされる。スマートフォン(スマホ)を使った交流ゲームの台頭など逆風が吹く中、ゲーム機の販売競争が激化する。
「ソーシャル(交流)機能の向上や、より魅力的なゲーム作品の提供でこれまでにない体験ができる」。米ニューヨークでPS4を発表したソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のアンドリュー・ハウス社長は力説した。
年末発売予定のPS4はネットを通じて、プレー中のゲーム動画や画像を交流サイト「フェイスブック」に投稿したり、友人にゲームの続きを遊んでもらったりできる。
スマホやタブレット端末とも連携。外出先でスマホからネット配信ゲームを注文すると、自宅のPS4に直接ダウンロードできる。出先から友人のゲームの進捗度合いを見ることも可能となる。
ゲーム機の心臓部には現行のPS3に使った高性能半導体「セル」ではなく、米AMD製を採用した。パソコンに使われる部品を活用してコストを抑制。価格は未定だが、「PS3発売時の価格4万9980円より安いだろう」(ゲーム業界関係者)との声が多い。
ソニーグループにとってゲーム事業は、スマホなどの「モバイル」とデジタルカメラなどの「デジタルイメージング」と並ぶ電機事業の3本柱の一つ。スマホもテレビも同じグループに抱える強みを生かし、ネットにつないだゲーム機を家庭内のデジタル家電を連携する中核機器に位置づけ、グループ全体のシナジーを追求する狙いがある。
とはいえ足元の状況は厳しい。ソニーの2012年4~12月期のゲーム事業の営業利益は33億円と前年同期比92%減。連結営業利益の4%にすぎない。累計販売台数7000万台を超えるPS3も発売7年たつほか、携帯型ゲーム機「PSヴィータ」の低迷で昨年の年末商戦は苦戦した。
据え置き型ゲーム機では任天堂が昨年11月に新型機「Wii U」を販売。交流機能や配信ゲームなどネットワーク性能を高めた。マイクロソフトも05年発売の現行機「Xbox360」に次ぐ新型機の開発を進めているとされ、今後の競争激化は必至だ。