2018年10月22日(月)

H2B打ち上げ、三菱重工に移管へ 大型通信衛星も対応可能に

2012/7/21付
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は21日、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で国産大型ロケットH2Bの打ち上げに成功した。来年度以降は三菱重工に移管される見通し。H2Aの2倍の打ち上げ能力を持つH2Bの移管で、大型の人工衛星の打ち上げ受注が可能となり、三菱重工にとって宇宙ビジネス拡大に向けて追い風となる。

「この打ち上げ成功で(三菱重工に)移管したいと考えていたので、うまくいって大変喜んでいる」。成功後の会見でJAXAの立川敬二理事長は話す。H2Bの統括責任者を務めた三菱重工の二村幸基・宇宙事業部副事業部長も「ほぼ完璧な打ち上げで、開発・技術力に自信を持つことができた」と満足げだ。

H2Bは2009年の初号機から今回の3号機まで、打ち上げはJAXAが主導し、三菱重工が製造主担当として支えてきた。今回の打ち上げでH2Bは3回連続の成功。05年以降15回連続で成功を続けているH2Aとの共通部分も多いため、JAXAは技術的な検証が十分と判断し、今後三菱重工への打ち上げサービスの移管作業を進める。

07年秋以降、H2Aの打ち上げサービスを受託した三菱重工は韓国の衛星などを打ち上げた今年5月まで連続成功を続けているが、さらに能力の高いH2Bが商品群に加わる。先行する欧アリアンスペースやロシア・フルニチェフ、低価格を武器にする新興の米スペースXと競争する体制が整う。

H2Bが静止軌道に打ち上げることが可能になる衛星の重さは8トン。標準のH2Aと比べると約2倍の能力。JAXAの立川理事長が「通信衛星は大型化している」と指摘するように、通信量の増大で大容量の電源が必要となるため、太陽電池パネルの大型化などで重量は増す傾向にある。これらの打ち上げに対応するためにも、より能力の高いロケットは不可欠だからだ。

2機の大型衛星を同時に打ち上げることも容易になる。複数の衛星を同時に打ち上げれば、衛星1機あたりの打ち上げ価格が下げられるため、受注につなげやすい。三菱重工としても「年1機は海外から商用衛星を受注したい」(浅田正一郎・宇宙事業部長)との目標に向け弾みがつく。

とはいえ海外勢との価格競争は激しい。打ち上げコストが85億~100億円のH2Aはロシアの「プロトン」に比べれば3割ほど割高。円高で欧「アリアン5」と比べても価格競争力は低下している。年20~25機とされる静止軌道への商用衛星打ち上げ市場で、欧州とロシアは合わせて7~8割のシェアを握るとされる。

H2Bの打ち上げコストは140億~150億円。三菱重工は部品の共通化などで、H2A、H2Bの製造・打ち上げコスト抑制を進める。低価格を売りにした米スペースXや、インドなどの新興国企業が台頭すれば、より価格競争が激しくなる可能性もあるだけに、コスト削減が急務だ。

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