人間も「発電所」に 熱や振動が電気になる時代迫る

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2012/9/24 7:00
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人の手が届きにくいほどその恩恵は大きい。例えば橋梁の揺れやゆがみを監視するセンサー。高所に取り付けられた無数のセンサーの電池交換にかかる手間とコストは膨大で、何より危険だ。自動車はIT(情報技術)武装が進み、内部はすでにワイヤハーネスの過密状態。センサーのために配線すれば複雑さは増す。

センサーというと地味に思えるが、実はインターネットの新たな可能性を開くキーデバイスでもある。センサーを取り付けた産業設備や社会インフラをネットワークで結び、機器間でデータ交換することで高度な制御を実現する「M2M(マシン・ツー・マシン)」がそれだ。

前述した橋梁の揺れなどの監視はM2Mの一例。センサーから発信されるデータが異常値を示せば、事故が起きる前に補強などの対策が打てる。高度経済成長を支えた日本の社会インフラは老朽化が著しい。人が巡回して点検するには限界がある。センサーが人の代役を果たす。

「環境発電の2020年時点の世界市場規模はデバイスだけで数千億円。センサーデータを活用したソリューション全体では数十兆円になるだろう」。50社以上の企業でつくる「エネルギーハーベスティングコンソーシアム」(EHC)の事務局を務めるNTTデータ経営研究所の竹内敬治シニアスペシャリストは予測する。

富士通研究所が開発した光、熱ハイブリッド型発電デバイス

富士通研究所が開発した光、熱ハイブリッド型発電デバイス

いいことずくめに思える環境発電。しかし、市場はまだ本格的に立ち上がっていない。普及に向けた課題がまだ残っている。

大きな要因は供給側にも需要家にも費用対効果が見えにくいこと。ヤマハは熱電素子の価格を明らかにしていないが、数百円で買える電池に比べればはるかに高額だ。「最大のライバルはボタン電池」(堀尾氏)。価格が高くても選んでもらうには、効果をはっきりと実感できる用途開発がカギを握る。それは部品・素材メーカーだけでなく、情報システム会社の役割でもある。

発電能力のさらなる向上も必要だ。富士通研究所は熱と光のどちらでも発電できる「ハイブリッド型」の発電素子を開発した。十分な光があるときは光で、光が不足する一方で熱が取れる状況では熱で発電できる。エネルギー源を増やして発電能力を高める狙いで、2015年ごろの実用化を目指す。

体温でスマホを充電できる日も来るのか。ヤマハの堀尾氏は「端末メーカーからも問い合わせがあるが、スマホを駆動させるのは難しい」とみる。残念だ。

(産業部 鈴木壮太郎)

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