2019年8月23日(金)

人間も「発電所」に 熱や振動が電気になる時代迫る

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2012/9/24 7:00
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あきれるほど早く電池残量がなくなるスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)。手で握っているだけで発電し、充電できたらどれだけ便利だろうか。それはまだ夢物語だが、小さな電子部品ならもう体温で動かせる。身近な熱や振動を電気に変える時代が、すぐそこに近づいてきた。

かつて「人間発電所」と呼ばれた怪力のプロレスラー、ブルーノ・サンマルチノが活躍した時代があった。まだまだ力強さはないが、今度は実際に、人間の体温などを使った「発電所」が実際に使われる時代が迫っている。

身の回りにあふれる熱や振動、光、電波からエネルギーを「収穫」し、電気に変えるのが「エネルギーハーベスティング(環境発電)」と呼ばれる技術。最近、各社の開発が加速してきたが、その「発電燃料」の中には、体温も含まれる。

ヤマハが開発した「体温発電」の試作品

ヤマハが開発した「体温発電」の試作品

マネキンの手に巻かれた奇妙なリストバンド。ヤマハが開発した「体温発電」の試作品だ。オレンジ色の帯状の部分が熱を電気に変える熱電素子を使った発電モジュール。ここでつくった電気でセンサーを駆動させ、体温や湿度などを測定。採取したデータを無線で送る。

「体温をセ氏36度とすると、20~30秒に1回の頻度で測定データを無線で送るだけの電力は賄えます」。研究開発センターの堀尾裕磨・副センター長は説明する。

どんな製品に応用できるのか。堀尾氏が一例として挙げたのは美容分野だ。肌の状態と湿度は密接な関係がある。乾燥は肌の大敵だ。湿度を定期的にモニターし、湿度が一定以下になれば保湿などのスキンケアをするよう注意喚起できる。

熱源は体温に限らない。工場の設備や配管、自動車のエンジン回りや排気管など、熱が発生するところならどこにでも取り付け可能だ。

楽器やオーディオ機器で知られるヤマハだが、半導体や電子部品も手掛けており、温度制御に必要な熱電変換材料も内製する。素材から部品、完成品まで1社でできる技術の総合力が強みだ。「熱電素子はすぐにでも量産できる。ユーザーの使い方に合わせ、必要な部品を組み付けた最適なモジュールを提供できる。いつでも走り出せる状態だ」(堀尾氏)

「環境発電」の有望市場とされているのがセンサーの電源だ。わずかな電力で駆動できるからだけではない。電子機器を動かすのに発電所の電力を使うには配線が必要で、電池を使う場合も切れたら交換が必要だ。その作業は人がすることになる。だが、電気を自給自足する環境発電なら、配線と電池交換の手間から解放されるのだ。

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