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スマホ経済圏で覇権争い フェイスブック1.9兆円買収

米対話アプリで「次の10億人」に先手

【シリコンバレー=奥平和行】「スマホ経済圏」を巡る顧客争奪戦が激しくなってきた。交流サイト最大手の米フェイスブックはスマートフォン(スマホ)の利用者の間で人気が高いチャット(対話)アプリの運営会社の買収を発表。社員が約50人の新興企業だが、約190億ドル(約1兆9400億円)をつぎこむ。巨額買収は勝ち残りへの布石だ。

「昨年1年間で利用者が倍増して4億5000万人を突破し、さらに毎日100万人が利用を始めている。数年で10億人を超えるのは確実だ」。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は同日に開いた投資家向け説明会で数字を羅列して買収理由をまくし立てた。

買収する米ワッツアップは2009年に米ヤフー出身のヤン・クームCEOが設立した。短文をやり取りするアプリを手掛け、手軽さが支持されてチャット・通話アプリでは世界最大の顧客基盤を持つ。競合他社とは異なり、広告を表示しない代わりに年間0.99ドルで利用できる。欧州や中南米などで利用者を増やしているという。

ザッカーバーグ氏は今月9日、クームCEOを米シリコンバレーの自宅に招いて夕食の卓を囲み、買収を提案。ソニーの時価総額を上回る破格の買収金額に加え、独立した企業として事業の継続を認め、クーム氏をフェイスブック本体の取締役として迎え入れるなど異例の好条件で合意を取り付けた。

狙いはワッツアップが持つ4億5000万人のスマホ顧客そのものだ。

スマホは13年に世界出荷台数が10億台を突破し、ネット接続機器の主役に躍り出た。フェイスブックもアプリの改良などに取り組みモバイル経由の利用者は9億4500万人に到達。広告収入に占めるモバイル向けの割合も13年10~12月期に5割を突破した。

市場関係者の間でも「モバイル対応は好調」と評価が高く、株価も高値圏で推移しているが、実は同社のモバイル利用者の増加率にはやや陰りが出ている。

米ネット業界ではスマホの出荷台数は新興国を中心に数年以内に年間20億台へと倍増するとの見方が有力。フェイスブックはワッツアップの買収でこの「次の10億人」を手にするための切符を手に入れた格好だ。

社員がわずか50人ほどの新興企業で、顧客の半分はまだ「無料サービス期間」とみられるワッツアップ。市場関係者の間には買収金額の高さや収益化の道筋が不透明なことを危惧する声もあり、19日にはフェイスブックの株価は下落した。しかし、クームCEOは「10億人規模の利用者を確保すれば収益化の道はおのずと開かれる」と話す。

スマホ経済圏の顧客を囲い込み、その基盤の上で様々なサービスを提供する。例えば広告、物販、決済。一つひとつは少額でも10億人規模ともなれば巨額な収益を生むビジネスモデルが築ける。

アプリでは楽天も無料対話で3億人の顧客を持つバイバー・メディア(キプロス)の買収を決めた。利益も出ていない新興企業に費やす買収額は9億ドルだ。まだ顕在化していない「有料顧客」をいかに囲い込むか。スマホを舞台に、ネット企業による顧客争奪戦が本格化する。

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