ミャンマー、「開国」が呼ぶ環境問題の試練

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2012/1/23 7:00
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ミャンマー北東部でタイや中国と国境を接するシャン州。標高が高く南国にしては気候が穏やかなため、野菜の一大生産地となっている。同州の主要観光地が、州都タウンジーから南西約10キロメートルに位置するインレー湖。立ったまま足でこぐボートで漁をする人々の写真などで有名だ。透き通った湖水には大量の水草が茂る。この水草を「地面」として住民は家を建て、トマトやピーマンなどの作物を大規模に栽培している。このトマトなどの栽培に使われる肥料や農薬が今、澄んだ湖を汚染しているとして大きな問題になっている。

地元ガイドによると、同州の野菜は7割以上がミャンマー国内に運ばれて消費される。インレー湖のトマトも多くが最大都市ヤンゴンに運ばれるという。水上で暮らす人々にとっては大事な換金作物だ。だが、収量を高めようと化学肥料や農薬を使った結果、湖底には汚染された泥などが堆積し、生態系の破壊などにつながっているという。AFP通信によると、汚泥や堆積物が湖底の約4割を覆っているとの調査結果もある。

ミャンマーは2010年11月に約20年ぶりの総選挙を実施。議員の8割強を軍人が占める体制ながらも、名目上は民主政権への移行を果たした。その後、テイン・セイン大統領は急速に民主化へとかじを切り、最近では軍事政権下で通算15年余りも自宅軟禁にされた民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏の選挙活動参加を認めたほか、拘束した多数の民主化運動家(軍事政権下での「政治犯」)も大規模に釈放した。

これを受け、民主化弾圧を非難して1997年以降に経済制裁を科してきた欧米諸国も、春までに制裁解除に乗り出すとの観測も出てきた。日本からも昨年末から今月にかけて、玄葉光一郎外相や枝野幸男経済産業相らが相次いでミャンマーを訪れ、経済協力の拡大を約束した。

軍事政権下ではもっぱら中国の支援を受けて経済活動を維持していたミャンマーだが、そのポテンシャルは大きい。人口は6000万弱と隣国タイ(約6800万人)に迫り、南部沖合には石油・天然ガスが、山中には鉱物などの資源が豊富だ。経済発展の遅れから実質の最低賃金も東南アジアで最も低い月給30~40ドル(約2300~3100円)にとどまっており、今後、世界各地から投資が殺到する公算が大きい。

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アジアで進む環境意識

改革進むミャンマー

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